1050年の時をこえて実った恋物語～始まり～ (ページ44)

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∽ 好敵者ノ土地ニ　参ル　その九 ∽ ページ44

「まったく、なんだよ!!」

私は先祖に愚痴を言う。術についてありったけのことを話し、

その後に反論する。先祖は相槌を打つ。それから、こう言う。

南「まあまあ、落ち着け」

それが、先祖の口癖。落ち着けるものなら、落ち着いているってば!!

「長い術はさ、それだけ意味が深くて力や相手へのダメージが大きくなるんだよ?」

南「･････････」

「なのに、あんな短いので何になるんだっての!･･････って、聞いてる?」

南「ん? ああ、聞いていたぞ」

その言い方は、絶対に聞いていないな･･･。そっ、と私は軽くあしらった。

そして、チラリと先祖に目をやった。その顔は、私の大嫌いな顔だった。

私は前を向き、先祖の顔を見ずにしゃべった。

「あのさ、その顔するのやめてくれない?」

きっと先祖は驚いた顔をしているだろう。

南「どんな顔だ?」

「思い詰めた顔」

また、先祖は驚いているだろう。

南「そうか? 俺は元気だけど?」

と、私の右斜め前に出てきてラジオで流れる体操をやり始めた。

「まっいいや、早く行くよ」

私は、先にテクテクと歩き出した。

先祖が、苦笑してそれからまた思い詰めたような難しい顔をしたことを知らずに。

「早くーー!」

先祖は、その声にハッとさせられるように前を見た。

南「おう、すまない」

「おいて行くからね」

Aが角を曲がって姿が見えなくなった後、先祖は、企むように笑った。

それから、何事もなかったかのようにいつもの顔に戻った。

南「おい、先祖をおいて行くなって」