1050年の時をこえて実った恋物語～始まり～ (ページ33)

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∽ 昔ノ香ニ　誘われテ　その四 ∽ ページ33

その日から、雨がたくさん降った。

私は一日ばかりかと思っていたが、一ヶ月も振り続けた。

きっと、作物を育てている人たちが頼んだからだろう。

これじゃあ、つまらない。

･

雨が止んだ。久々に山へ出かけた。

そこで何をしてたか、薬草取り、妖怪の観察やそのほか色々していた。

「(にしても、あつい･･････)」

額から汗が流れた。と、その時。

「おい、お前」

「あ、あのときの!」

けが、だいじょうぶ?と聞こうとしてその妖怪に一歩近づいた。

しかし、その妖怪の眉がﾋﾟｸｯとつり上がった。そのため、そこからは動かなかった。

「ご、ごめんねちかづいたらだめだったよね」

「いや、べつにいい今日、お前にわたしたいもんがある」

それは、少し大きめの麦藁帽子だった。

「お前、ここに来るときってぼうしかぶってねーから、作ってやった」

「え、ほんとう!?」

「え、うん、まあ」

「すごーい、ありがとう」

「!! べつに、ひまだったからな」

そう言うと、その妖怪は顔を背けた。

「んじゃ」

「あ、まって」

「んだよ」

なぜ、呼び止めたかよくわからない。でも。

「また、明日も会える?」

明日も会いたい。

「ま、ひまだったらな」

そう思っただけ。