電話ごしの怒り ページ9
「助けてって、言ってる。」
「それって、どういうこと！？」
「落ち着いて、天月君。これが(人1)、いやAの精一杯の助けを求めてるんだよ。」
「わからない。何で言ってくれなかったのか。」
握りしめた拳で強く机を叩く。
こんなに苛立つ彼らを見たことがない。
電話がかかってくる。
ルス君からだ。
「もしもし、Aいなくなったの？」
「なんで知ってるの。」
「なんか、呟きの様子が変だったから。」
「助けてって、言って欲しかった。
Aはなんで言ってくれなかったの！
俺らが信用できないから！？
頼りないから！？」
電話越しに八つ当たりしてしまう。
「そんなの簡単じゃん。
皆に迷惑かけたくなかったからに決まってるでしょ。
それくらいわからないんだったら、早く俺にAをくれれば良かったんだよ。」
淡々としたその口調からは、怒りが伝わってくる。
付き合いが長い分心配は俺らより大きいのだろう。
「ごめん、八つ当たりだ。
気づけなかった俺が悪いのに。」
「ごめん、俺も怒りすぎた。
アンクさんが悪いわけじゃないのに。」
きっとこれはAが考えた最善の方法だったんだ。
ただ、最善ではなかった。
俺たちが助けに行かないわけが無いだろ。
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作者名：空白（そらしろ） | 作成日時：2015年9月18日 20時
