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それは、予備校から帰る為に夜の繁華街を歩いてる時だった。
一応受験生。週に数回は予備校に通ってる。
だけど、この道を歩くのは初めて。いつも通ってる明るい道が工事で通行止めだったせいで普段は避けてる暗い道を歩かなきゃいけなくなった。
出来るだけ早足で、そそくさと逃げるように歩く。
正面から若い男性の集団がワイワイ騒ぎながら歩いて来て、慌てて道の端っこに寄る。
俯いて通り過ぎようとしたんだけど、「先輩！」と声を掛けられ顔を上げてしまった。
「...え、櫻井くん？」
その集団の中に彼が居た。
全然気が付かなかった。制服じゃないだけで、こんなに大人っぽくなるものなの？
櫻井くんの茶色い髪は、やっぱり街に溶け込んでいる。
「先輩、何やってんの？」
「何って...」
櫻井くんの背後で彼のお仲間さん達が「翔の新しい彼女ー？」なんて笑ってる。
それに対して彼は「うっせーよ」と笑い返す。
「先輩、女の子が1人でこんな時間にこの道は危ないって」
「いつも使ってる道が工事中だったから...」
「あーそっか」
納得したように頷いた櫻井くんはクルっと振り返ってそこに居るお仲間さん達に手を振りながら「俺、今日はもう帰るわー」と言った。
「なになにー、デート？」
「そのお姉さんと遊びに行くわけー？」
彼らの言葉に櫻井くんはやっぱり「うっせーよ」と返す。
彼らも「じゃーなー」「またねー」と手を振って歩いて行った。
シンと静まる暗い道。
櫻井くんと二人残されて、どうしたら良いのか分からない。
「行こっか、先輩」
「え？」
「帰るんでしょ？」
「あ、うん。帰る」
「送るよ。マジでこの道、危ないし」
制服じゃない櫻井くんが歩き出す。
私も彼の後ろをついて行く。
「酔っ払いのオッサンとか、すげぇ通るから。この道」
彼の言う通り、ゴキゲンに大声で喋ってるおじ様達とすれ違う。
私達に向かって「お前らえっちな事するのかー？」なんて笑いながら言って来る人もいて思わず肩を竦めると
「怖くない、怖くない」
歌うように囁いた櫻井くんが、私の手を取り指を絡ませた。
繋がれた手をどうしたら良いのか分からなくて、握り返す事は出来ない。
その手が女の子とは全然違って骨っぽくて大きくて、櫻井くんは男の子なんだ...なんて当然の事を考えてしまう。
結局駅まで手を繋いだまま送ってくれた櫻井くんは、何事も無かったかのように「また学校でね」と背を向けた。
こんなに心臓が潰れそうなのは、どうして。
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みみ - reiさん、つむさんこんばんは。reiさんのお話が好きでこちらにもお邪魔させてもらいました 。どのお話もとても素敵で、繋がりも感じられて、読み終わった時どこか切なくても大切な何かが残っている気がしました。また次のお話を楽しみにしています。 (2019年4月5日 16時) (
レス) id: 4269c85d7b (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - reiさん、つむさんこんばんは。reiさんの大ファンでそちらよりお邪魔しました。つむさんは初めましてかな？とっても素敵なコラボ作品をありがとうございました。つむさんの作品も読みたいのですがどうやって探そう… さ、まずはダカーポしてきます。 (2018年7月19日 0時) (レス) id: 7382a51a30 (このIDを非表示/違反報告)
さら☆(プロフ) - reiさんとつむさんの大好きなお二人による作品！また大好きなお話が増えました。期待通りに戻って読み返すマニュアル通りの私！笑リンク部分は、嬉しく、そして最後に眼鏡をかけてる相葉先生！もしかして彼女に気を遣い？なんて☆また同企画がありましたら嬉しいです！ (2018年7月12日 3時) (レス) id: 1078765f1f (このIDを非表示/違反報告)
2038(プロフ) - とっても面白かったです(^^)全てのお話が繋がってて最後まで読んで、ぁあこういうことか！驚きました。二宮くんにも是非幸せになって欲しいですね! !続きがいつか読めたらいいなと密かに楽しみにしてます。 (2018年7月9日 21時) (レス) id: c512e9cb5a (このIDを非表示/違反報告)
めいぷる(プロフ) - とても良かったです！！！！！最後に繋がって無限ループ！！二宮担的には二宮さん幸せになって欲しいけど、ニノちゃんの恋が切なくて似合ってる！とも思ってます。黄田ちゃん諦めないで！！ (2018年7月7日 17時) (レス) id: ae3f3fc11e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年5月14日 16時
