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「あの...」
「ん？」
「時々、公助に会いに来てもいいですか？」
止まりそうになった息を吐き出すと同時に、私はそんな事を口走っていた。
そんなのダメって言われるに決まってると、すぐに「あ、やっぱり...」と発言を取り消そうとしたけど
「うん、もちろん」
先生は、すんなりと承諾してくれた。
「...え？本当に？いいんですか？」
「うん。あー、でも...」
先生が私を見る。
前髪で隠れた目元も、ここまで近付けばハッキリと見える。
「あんまりたくさん人が来ると公助がビックリするから」
先生が、すぅっと人差し指を自分の口元に添えた。
「みんなには内緒ね」
眼鏡の奥の目が細くなる。
こんなに黒目がちだったなんて、初めて知った。
「.....あ...じゃあ、また来ます...！」
「うん。いつでもどうぞ」
「あの...失礼します！」
もつれそうな足で準備室を出て、なんだかよく分からないけど昇降口まで廊下をダッシュした。
何で自分がダッシュしてるのかも分からないけど、走らずにはいられなかった。
───みんなには内緒ね───
先生の声が頭の中で何度も繰り返される。
黒目の面積が多いあの目を思い出す。
靴を履きかえると、私は駅までまた走った。
・
私が生物準備室に行ったのは、あれから一週間程度経った放課後。
「失礼しまーす...」
相葉先生は前と同じように奥の席に座り、今日は小テストの採点をしていた。
「緑川さん、いらっしゃい」
「公助、元気ですか？」
「元気だよ」
ほら、と先生は公助のケージを指差す。
その中で公助はモソモソと動いてた。
「公助ー」
近付いて名前を呼んでみる。
「抱っこしてみる？」
「え？」
いつの間にか隣に立ってた先生が、ケージの扉を開けて公助を掌で抱き上げ私の方に差し出した。
「...噛まないですか？」
「アハ、公助は噛まないよ。人に慣れてるから」
「そんなに色んな子が公助を見に来るんですか？」
「あ、先生達ね。癒しだなぁなんて言いながら、あの長瀬先生もメロメロになってるんだよ」
ふわっと私の手の中に公助を乗せながら、先生が話す。
「けど生徒で公助を抱っこしたのは、緑川さんが初めて」
「...え？」
公助が私の掌をクンクンと匂った。
「緑川さんは口堅そうだし」
「......」
「僕の授業もいつも真剣に聞いてくれてるから、生き物が好きなんだろうなぁと思って」
どんな顔をしたらいいのか分からなくて、公助に顔を寄せる。
鼻先に当たるふわふわの毛がくすぐったい。
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みみ - reiさん、つむさんこんばんは。reiさんのお話が好きでこちらにもお邪魔させてもらいました 。どのお話もとても素敵で、繋がりも感じられて、読み終わった時どこか切なくても大切な何かが残っている気がしました。また次のお話を楽しみにしています。 (2019年4月5日 16時) (
レス) id: 4269c85d7b (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - reiさん、つむさんこんばんは。reiさんの大ファンでそちらよりお邪魔しました。つむさんは初めましてかな？とっても素敵なコラボ作品をありがとうございました。つむさんの作品も読みたいのですがどうやって探そう… さ、まずはダカーポしてきます。 (2018年7月19日 0時) (レス) id: 7382a51a30 (このIDを非表示/違反報告)
さら☆(プロフ) - reiさんとつむさんの大好きなお二人による作品！また大好きなお話が増えました。期待通りに戻って読み返すマニュアル通りの私！笑リンク部分は、嬉しく、そして最後に眼鏡をかけてる相葉先生！もしかして彼女に気を遣い？なんて☆また同企画がありましたら嬉しいです！ (2018年7月12日 3時) (レス) id: 1078765f1f (このIDを非表示/違反報告)
2038(プロフ) - とっても面白かったです(^^)全てのお話が繋がってて最後まで読んで、ぁあこういうことか！驚きました。二宮くんにも是非幸せになって欲しいですね! !続きがいつか読めたらいいなと密かに楽しみにしてます。 (2018年7月9日 21時) (レス) id: c512e9cb5a (このIDを非表示/違反報告)
めいぷる(プロフ) - とても良かったです！！！！！最後に繋がって無限ループ！！二宮担的には二宮さん幸せになって欲しいけど、ニノちゃんの恋が切なくて似合ってる！とも思ってます。黄田ちゃん諦めないで！！ (2018年7月7日 17時) (レス) id: ae3f3fc11e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年5月14日 16時
