翌朝 ページ9
貴「相変わらず凄い寝癖だな」
朝日が昇ってリビングに入ってきた齋藤の頭を見て、ソファで寝転ぶ翼は思わず目の高さにあったスマホを胸に下ろした。
飛鳥「うるさいな...」
初めて男のベッドで寝た齋藤は、熟睡することができずに何度も寝返りを打った。その代償として、今すぐにでもジャンポール・ゴルチエの衣装を纏って東京ドームのライヴに臨めるくらいの髪型に仕上がった。
貴「朝飯にするか」
大きな欠伸を一つすると翼はキッチンに向かった。
飛鳥「私も...」
貴「あなたは人前に出れる格好になってきなさい」
大きく手のひらを向けられてはそれ以上進もうとする気は起きなかった。
飛鳥「わかったよ、ありがとう」
昨日から感謝する事がいっぱいだなと、齋藤は化粧道具を持って洗面所へ行って身なりを整える。その間に、もしも同棲したらというIFを想像して、ひとり齋藤はチークのせいには出来ないほど、頬を赤くした。
朝食の片付けを終えて翼も外に出れるよう準備を整えた。と言っても、髪を溶かして歯を磨いただけだ。
飛鳥「はやっ」
リビングでスマホをいじっていた齋藤は、いま洗面所に向かったはずの翼に驚いた。
貴「男の準備なんかこんなもんだよ」
翼はネクタイを締めながら答える。
飛鳥「でもライブだとメンバーより準備長いじゃん」
貴「まぁな。じゃ、行くか」
景気付けのブラックコーヒーを飲み終え翼は腰を上げた。
飛鳥「うん」
齋藤も砂糖とミルクで甘くしたコーヒーを飲みきり紙コップを捨てて立ち上がった。去り際、恐らくこれからも来るであろう部屋を視線の端で見てから翼の後を追って外廊下に出た。鍵は“いつも“の通りかけてはいない。
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ま - 面白いです!続きが気になります! (2月15日 11時) (レス) id: 05eb6baf46 (このIDを非表示/違反報告)
な - 続き待ってます (2023年2月13日 19時) (レス) @page4 id: e8039f9ffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:TSUBASA | 作者ホームページ:http://exiledaisuki0113
作成日時:2023年1月21日 18時