乃木坂46のマネージャーは優しくて頼れる人 (ページ8)

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尚も迫ってくる齋藤の頭を翼はこれでもかとグシャグシャに撫でた。立場と理性が仕事をしているから彼は間違いを犯す事はないし齋藤も齋藤で翼の正義を信じているから今夜も部屋に上がり込んでいる。

もうとっくに日付を跨いだ時計を見て翼は大きく欠伸をした。内容の濃い時間を過ごしたから心身ともにベッドを求めている。だがしかし、メンバーを部屋に泊める時の自分で決めたルールは守りたかった。

飛鳥「え？もう寝るの？」

自分を置いて歩き出した背中に齋藤は尋ねる。

貴「今何時だと思ってるの、お嬢さん」

振り返らずに翼は洗面所に入ると歯を磨いてマウスウォッシュまで終えて再びリビングに戻ってきた。

貴「飛鳥はベッドで寝ろ。俺はソファで寝るから」

翼は親指で寝室を指さす。

飛鳥「えぇ〜？一緒に寝たかった」

不満そうな顔をする齋藤は身体をブンブン振って抗議する。

貴「馬鹿野郎。同僚と同じベッドで寝れるか」

早く歯磨いて来いよと付け加えて齋藤を廊下に追いやると、その間に翼はベッドルームから予備の枕と毛布を持ってきてソファにセットした。

飛鳥「明日ってか朝は何時に出るの？」

歯磨きを終えた齋藤がリビングに再び現れる。

貴「ん、9時とか10時かな。午前中は俺も仕事ないし。
そっか一緒に出なきゃだもんな」

ソファに寝転がった翼合点がいったように頷いて飛鳥を見上げた。

飛鳥「じゃあ、7時くらいに起きてくるね」

齋藤は立ったままスマホのアラームを設定した。壁紙には何時間か前に撮った翼とのツーショットに既に変更されている。

貴「じゃ、おやすみ」

飛鳥「おやすみ。ありがとね、楽しかったよ」

齋藤は小さく頭を下げた。

貴「俺は引率しただけだよ、気にするな」

仰向けのまま翼はかぶりを振る。

飛鳥「じゃあ、一緒に寝...」

貴「さっさと寝ろ」

齋藤は諦めてリビングを後にしベッドルームに入った。黒を基調としたシンプルな部屋に大きなベッドが置かれ、その脇のナイトテーブルにはいつかのライヴ直後に撮った全体写真が飾られている。齋藤は自宅よりも大きなベッドに倒れ込みグッと枕に顔面を押し付けると翼がいつもつけているダンヒルの香水が鼻腔をくすぐる。