ピンチ ページ26
「Let's do something interesting」
アタマらしき人物が、やはり英語で話しかけてくる。中学英語レベルの知識しかない梅澤は理解こそできなかったが、自分にとって都合が悪い事を言ってくる事だけは分かっている。何も言い返せない自身の歯痒さと恐怖、そして愛してもいない男に身体を触られた事に対する嫌悪感から、彼女の頬に涙が伝った。それを見た薄汚れた野郎達は、品の無い笑い方で梅澤を指さした。味わったことのない屈辱に自然と顔は俯き、ショートパンツから伸びる太ももに涙が落ちた。
悔しさのあまり梅澤が拳を力強く握ったその時、
そこで聞き覚えのある声が聞こえる。
貴「Would you stop it now?」
美波「え?翼さん?」
梅澤に絡む3人連れの背後から現れた翼。
ハッとして顔を上げた梅澤以上に慌てた野郎達が身構えて見据える先には、翼がこちらを見ている。
貴「Entertainment is needed for the party(パーティーには余興が必要だろ)」
大きな声ながらも流暢な英語を披露した翼は、目にかかる前髪をかきあげた。大勢が攻めてきたと踏んだストリートギャング達は拍子抜けし、単身で乗り込んできた日本人をせせら笑う。
梅澤はその展開にさっきまでの恐怖を上回る安心感を得る。
美波「(あれ、私...今キュンとした)
やっぱり好きだなぁ」
梅澤が自分の心の変化を感じている間にも、ギャング崩れと翼の間でやり取りが繰り広げられる。
英語でやり取りしているが、内容は梅澤でも想像できる。
だが盛りがついた野獣には通用しない。
自分を救いに来てくれた翼に感謝をするもこの人数を相手に彼が勝てるはずがない。梅澤は自分の事など構わず、一刻も早く翼にこの場から逃げて欲しかった。
美波「え、嘘、来ちゃだめ!」
「C'mon everybody」
右手の指をクイクイッと挑発する翼の行為で、一斉にギャング達が彼目掛けて走っていく。
話はあっさりと相手がナイフを出す展開に...
美波「嘘...やだ...」
梅澤は恐怖にすくむ。
ナイフを向けられた当の翼は、
全く同じた様子がない。
ナイフを持った3人は一斉に躍り掛かる。
美波「やめて!」
梅澤が大声で叫ぶが二人は止まらない。
勝負は一瞬だった。
勝ったのは翼だった。
ギャング崩れの素人など勝負にならなかった。
美波「遅かったじゃないですか」
開放された梅澤は、翼の胸に収まる。翼もこのタイミングではしょうがないと、梅澤の背中に腕を回して抱きしめた。
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ま - 面白いです!続きが気になります! (2月15日 11時) (レス) id: 05eb6baf46 (このIDを非表示/違反報告)
な - 続き待ってます (2023年2月13日 19時) (レス) @page4 id: e8039f9ffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:TSUBASA | 作者ホームページ:http://exiledaisuki0113
作成日時:2023年1月21日 18時