待ち合わせ ページ23
異国の地での一週間はあっという間に過ぎ去り、残すところは今日を含めて二日となった。撮影は今日で全て終了し、翌日は飛行機の時間まで自由行動となっている。クルーに疲れが見え始めてはいたが、梅澤の最高の写真集を作るという熱意が燃え上がり、疲労した身体を突き動かす。当の梅澤はと言うと翼の献身的なサポートのお陰で毎日ベストコンディションで撮影に臨めており、今まで見せたことのない側面を惜しげもなくカメラに収めていた。
美波「今日で最後ですね」
胸元と背中が大胆に開けた黒いドレスを纏った梅澤が、寂しそうに呟く。
貴「明日は自由時間だし、そんなショボくれるなよ」
大人びた返しをする翼だったが、実は彼自身も思いの外楽しめたこの撮影が終わってしまうのを、少しばかり悲しんでいた。それでも俯く姿を梅澤には見せられまいと、自分を律して前を向いている。
セクシーな真っ黒いドレスに身を包んだ梅澤は、先程のノスタルジーな面影とは打って変わって元気な表情をカメラに向ける。長めの裾をはためかせながら、カラフルな街並みの中を踊るように歩く。まるでムービー・スタアになったように彼女は妖艶で、それでいてどこか子どものようなあどけなさがあった。最後はと現場に顔を出した晃汰は、梅澤の長い手足に視線を拐われた。
最終日の撮影は、夕方の早い段階で終わりとなった。夜からクルー全員にモデル、そして運転手が参加しての打ち上げが予定されているからだ。最後のカットを撮り終えた直後に、サプライズで翼が花束を梅澤に手渡し、暫くの間彼女から涙が乾くことはなかった。
撮影から引き上げてきたホテルで打ち上げが始まるまで各々が好きな時間を過ごす。翼も時間が来るまで部屋でゆっくりしていようと考えていたが、そこは梅澤が阻止をする。部屋に戻ってくるなりシャワーを浴びるが、防水ドア越しに自身のスマホが鳴っていることに気づく。仕事柄、常にスマホは近くに置いている為、右耳の辺りだけをタオルで拭いて翼はスマホを耳に当てた。相手の第一声で架電者を特定し、そして用件を聞く。
貴「いま風呂入ってるから、あと30分後にロビーな」
相手は梅澤だった。打ち上げまでの時間を翼との散策に充てたいと申し出ており、たまには良いかと翼も時間を指定して承諾した。
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ま - 面白いです!続きが気になります! (2月15日 11時) (レス) id: 05eb6baf46 (このIDを非表示/違反報告)
な - 続き待ってます (2023年2月13日 19時) (レス) @page4 id: e8039f9ffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:TSUBASA | 作者ホームページ:http://exiledaisuki0113
作成日時:2023年1月21日 18時