貴婦人 ページ13
撮影が終わった頃に戻ってきた名と次の現場までの移動は一緒に行けることになったので美月は御機嫌な様子でパリの街並みを歩く。
美月「翼さん?皆、違う道を行くよ?」
貴「あぁ、大丈夫、この裏道行けば40分ぐらい早いから」
翼は皆とは別の路地に入り急に現れた巨大な門を勝手に開けて通り抜ける。
門の先には手入れが行き届いている庭が広がっており、薔薇などの美しい花が咲き乱れていて、さながら不思議の国のアリスの世界に迷い込んだようだった。
『おー!翼!どうした?散歩か?』
貴『そんな感じ〜!通って良い?』
蓄えた白髭が似合う庭師のお爺さんに声を掛けられ、美月は構えるが翼は手を挙げて流暢なフランス語で答える。
『自分の家の庭を通るのに確認がいるか?』
貴『おっちゃん!ありがとう!』
『気をつけてな!お嬢さんも、良い一日を』
美月に対しても陽気に話し掛けて、先を促されると城の庭を2人で散歩しているような気分になり、美月は手を繋ぐ。
貴「ん?」
美月「逸れたら迷うから」
貴「だな。行こう」
美月「うん!」
不安げな表情を作ってみると翼は少し笑みを浮かべて美月の手を引いて歩き出した。
美しい庭を通り抜け、街並みに戻ると甘い香りがして美月は香りの発する場所を探して目線を振る。
美月「あ!」
すぐにカラフルなマカロンがショーケースに並んでいる店を発見し美月は目を輝かせる。
美月「わぁ!綺麗!」
貴「だろ?美味いぞ」
美月「えっ!?」
翼は焦る美月の手を引いたまま、店の中に入って店員に声を掛ける。
『久しぶりね!翼、そちらは恋人かしら?』
貴『いやいや、ビジネスパートナーだよ』
『あら、そんなの関係ないわよ』
貴『どゆこと?』
味を美月に説明しながら選ばせると、店員は翼と雑談しながら綺麗に箱へと詰めてくれる。
『ここは花の都、恋する街よ?気張りなさい!』
貴『ありがと!美しき貴婦人!俺も貴婦人みたいな女性を口説けるように頑張る!』
『あら!仕方ないわね。じゃあ、もう一つ入れてあげるわ』
貴『マジで!?ありがとう』
『行ってらっしゃい、色男!』
楽しげに話す2人だが、内容が分からない美月は名の袖を小さく握る。
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ま - 面白いです!続きが気になります! (2月15日 11時) (レス) id: 05eb6baf46 (このIDを非表示/違反報告)
な - 続き待ってます (2023年2月13日 19時) (レス) @page4 id: e8039f9ffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:TSUBASA | 作者ホームページ:http://exiledaisuki0113
作成日時:2023年1月21日 18時