乃木坂46のマネージャーは優しくて頼れる人 (ページ1)

今日:17 hit、昨日:26 hit、合計:13,860 hit

親友ページ1

「飛鳥！！」

遠くで自分を呼ぶ声がして、齋藤は足を止めて振り返った。翼も同じタイミングで立ち止まると、首から上だけを後ろに向けた。

「会いたかったよ、飛鳥！」

焦点を対象物に合わせる頃にはもう既に物体が齋藤の身体を包み込んでいた。それを彼女は正面から受け入れていたから、きっと例の親友なのだと翼は察した。

「私も会いたかったよ、アカリ！」

翼は自分が何かの障がいになってはいけないと、ゆっくりとその場を離れようとした。

飛鳥「アカリ、この人が言ってた晃汰ね！」

興奮冷めやらぬまま、齋藤は隣のマネージャーを旧友に紹介した。前もっての電話で粗方の紹介はしていたが、齋藤は直接会わせて紹介させたかった。

「新田明梨っていいます、昔は古田明梨だったんですけどね」

ペコリと頭を下げる新田の左手にはキチンと指輪がはめられていた。翼も礼儀を重んじて背筋を伸ばすと、軽く会釈をした。

貴「田中と申します。ご結婚、誠におめでとうございます」

執事時代に叩き込まれた身のこなしは今も健在でこういう社交の場では平均よりも少しだけ高い身長も手伝ってより一層際立つ。

飛鳥「たぶん分かってると思うけど、あの子がアカリね？」

新田を含むグループと別れた直後、隣を歩くマネージャーに齋藤は確認を入れた。

貴「分かってるよ。だから結婚おめでとって言ったんだよ」

反論しようと思ったが今夜の主役を不機嫌にさせてはマズイと、晃汰は自重した。代わりに、右の腕をくの字に曲げて身体との間に隙間を作った。

貴「エスコートって、腕を組むことも含まれてるんだ。カップルじゃなくてもな」

その瞬間、パッと表情をさらに明るくさせた齋藤は翼の右腕に左手を通した。

飛鳥「気がきくじゃん」

あくまでも上から目線、けれども内心は嬉しかった。この男を選んで良かった、齋藤は翼の振る舞いに満足しながら、パーティーが始まるまでの時間を有意義に過ごした。