青道の貴公子 (ページ20)

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新田「けど、今のお前じゃ俺の足元にも到底及ばない君には“野球知識”が圧倒的に足りない。プレーはどうかはわからないがそれでも、知識だけでも詰め込んでここに来い」
　
そして、新田はバッグの中から、一本の本を取り出す
　
沢村「………野球入門書？」
沢村がタイトルを読む。そして、新田はもう一つのA4のホッチキス止めの紙をクリアファイルの中に入れて手渡す。
　
新田「あと、お前の投げ方を見て、改良できる部分があると思った。参考になんだろ」
本当は高島礼に預けようと思っていたが、本人がちょうどそこにいたので、手間が省けた。
　
若菜「凄い………それに握り方まで………」
若菜はすぐに紙を見て分かったようで、感嘆の声をもらす。
　
若菜「いいんですか、栄純に渡しても？」
ライバルに塩を送る行為に、若菜は戸惑う。
　
新田「まあ、体が出来ていない奴でも、負担無く投げられる変化球は、覚えていて損はないよ。エースを争う投手が、変化球無しなのは、なんか恰好がつかない」
　
沢村「うっ………」
凄い変化球をいくつも持っている新田にそう言われ、沢村は何も言えない。実際、新田の決め球に衝撃を受けた彼は、自分も何か変化球が欲しいと思っていたのだ。
　
新田の東を空振りに取った―――そもそも勝負にすらなっていなかったあの変化球。

友沢「君達はまぁ、デートでもすればいいよ」
　
新田「渉のやついつの間にかいなくなってる。
亮、探しに行くぞ」

友沢「あぁ。本当にあいつだけは」

新田と友沢は、いなくなった高瀬渉を探しにその場から離れた。

若菜「///////////」
若菜は最後にそう言われ、顔を赤くする。
　
沢村「お、おう！！見てろよ！！絶対に驚かせてやるからな！！！」

その後、沢村は彼女を連れて文化祭に来ていることがばれ特に上級生の選手に散々追い回された。
　
しかし、一緒にいた若菜はその状況をどこか楽しんでいたりもしていた。それもそうだろう、その内野手が言うには、逃げる時もずっと手を繋いで逃げていたというから。

友沢「でも、あいつにあの資料渡しても良かったのか？」

新田「あぁ。今の青道の投手陣からしたら1人でも多く新しい即戦力が欲しいはずだからな」

友沢「なるほどな。打撃は、全国クラスだが投手陣が
ダメだからな」

新田「あぁ。俺、1人でも限度がある」

友沢「確かに」
　
　