11話 ページ11
．
「遅せェ。」
「し、不死川…君…。」
カナエは今日部活なので一緒に帰れず、私は一人下駄箱まで足を運んだ。
しかしそれが不運だったようで。
下駄箱の前で背もたれた不死川君がそこにいた。
「帰っぞ。」
「え…。」
「おィ。」
「は、はい！帰ります！」
不死川君の目力に勝てるはずもなく、私は慌てて上靴をしまった。そうしている間も不死川君の突き刺さるような視線が私から離れることはない。
正直に言って凄く怖い。
「あ、あれ…冨岡君と伊黒君は…？」
「あいつらは今日用事があるんだとよォ。」
スマホを片手で弄りながら不死川君はそう答えた。
あああ、顔が良い。怖いし厳ついんだけど顔が良い。スマホに目を落として伏し目がちになってるビジュアルが良すぎる。多分写真集出したら普通に売れる。
…あれ、もしかして不死川君今日一人で帰りたくなくて私誘ったの？そうだとしたらなんか可愛らしい気が…。
「言っておくけどなァ、別にあいつらがいねェからテメェのこと待ってたわけじゃねェぞ。」
あれ、不死川君ってテレパシーだったの？私の思考ガッツリ読まれたんだけど。
「早くしろォ。」
「あ、はい。」
てか不死川君と二人きりって。
かなり、やばい気がするんだが…。
．
「……。」
「……。」
うわぁ、気っまず。沈黙が死ぬほど気まずい。
今すぐにでも逃げ出したいけどそんなことしたら私の命が本当に危ういかもしれない。
てか不死川君ずっとスマホ弄ってるじゃん。私と一緒にいる意味ないじゃん。なら別々に帰った方が良くない？
不死川君に聞こえない程度に溜め息をつくと何となく空を仰いだ。鴉が鳴きながら空を飛ぶ姿以外特に何もない。ああ、暇だ。
…待って、本気で不死川君から離れたい。
二人きりってだけで私のメンタルゴリゴリ削られていくんだけど。
誰かお助け。
よし、もう一か八かで自分から離れるチャンスを作ろう。
そう思い辺りを見回す。すると丁度良く少し先にコンビニがあった。
買い物するから先帰ってて…我ながら良いシナリオだ…！
「えっと、し、不死川君…。」
「なんだァ？」
「わ、私コンビニ寄りたいから先に帰ってて良いよ…？」
向かいにあるコンビニを指さすと不死川君はそちらを一瞥した。
お願いだから「あァ。」って言って。ねぇ、お願い。
「俺も行くわァ。ちょうど買いてェ物あるし。」
「そ、そっか…。」
……作戦失敗！(ヤケクソ)
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aya(プロフ) - ラストに向けた展開に心揺さぶられました！ (2021年6月8日 2時) (
レス) id: 72cb3c8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーど - ヤバっ！トリハダたちました…！ (2021年5月16日 13時) (レス) id: 328ef4fff0 (このIDを非表示/違反報告)
巴 - 学園祭のお話がすごーく良かったです！高校時代に戻りたくなっちゃった。茶道部だったから不死川さんにお茶点てて差し 上げたいわ〜。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 7c1fbdaf37 (このIDを非表示/違反報告)
くれ - めっちゃ面白いです (2021年1月2日 17時) (レス) id: f26c98ad88 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の水道水(プロフ) - いやなんかw主人公の実況が好きすぎてw (2020年11月18日 7時) (レス) id: 44bf365a1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白霞
| 作成日時：2020年7月11日 23時
