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00話 ページ49

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「わぁー!懐かしいね!」

「おい…教師が校内を走り回んなよォ。」



中高一貫キメツ学園。
今日はそこに新たな教師達が就任した。

そしてどうやら彼らはここの卒業生らしい。



「……変わらないな、ここは。」

「そうだな。」



「伊黒のマスクも変わらないな。」

「冨岡お前は黙ってろ。」



男女四人の新米教師達は懐かしい母校を眺めて回る。どこもかしこも思い出の詰まった場所だ。



「そう言えばね。」



先導を切って進んでいたAがくるりと冨岡、不死川、伊黒を振り返る。



「ありがとう。私との約束、覚えていてくれて。」



三人は目をぱちくりさせてはて、なんの事やら、とでも言いたげな表情をした。


Aはそんな三人の阿呆面を前にふっと笑ってしまった。



「もー、覚えててくれたんでしょ?
ずうーっと前にした約束。」



ますます意味がわからない、という表情をして三人は顔を見合わせる。


Aはふふふっ、と笑って窓の外を見た。
蜂蜜色の夕陽が校庭を照らす。

その光景を懐かしむように目を細めると、Aは笑ってこう言った。





「ずっとずっと昔の約束だよ。
んー…今から百年くらい前?」








「折角同じ歳なんだからもっと仲良くしようよ!」






ふと、彼女の口癖だっ(・・)()言葉が脳裏を過ぎる。



そして全てに気がついた時、不死川は涙を流し、冨岡は鞄を床に落とし、伊黒はへたりとその場に座り込んでしまった。



__思い、出したのか。
過去を。全て。鬼狩りのあの頃のことも。





「…オメェ…まさか…。」

「……信用しない、信用、しない…。」

「……ずっと、昔の……。」





目を見開き、その場に立ち尽くす三人を見てAは笑った。



ちょびっと相性が悪くて会う度に口喧嘩が始まるけれど、その裏側では互いをきちんと理解し合っていた三人をずっとずっと繋ぎ合わせていた存在。

それは、間違いなく彼女だった。



「思い出すの、遅くてごめんね。
これからも、四人で仲良くやっていけたら良いなって、私は思ってる。」



風が吹いて彼女の髪を揺らす。
百年前と変わらない優しい笑顔に、三人はAをぎゅーっと抱き締めた。



まるでもう、いなくならないでとでも言いたげに。









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この四人で生きていくのもまた、悪くはないな。





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後書き→←蛇の秘め事



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aya(プロフ) - ラストに向けた展開に心揺さぶられました! (2021年6月8日 2時) (レス) id: 72cb3c8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーど - ヤバっ!トリハダたちました…! (2021年5月16日 13時) (レス) id: 328ef4fff0 (このIDを非表示/違反報告)
- 学園祭のお話がすごーく良かったです!高校時代に戻りたくなっちゃった。茶道部だったから不死川さんにお茶点てて差し 上げたいわ〜。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 7c1fbdaf37 (このIDを非表示/違反報告)
くれ - めっちゃ面白いです (2021年1月2日 17時) (レス) id: f26c98ad88 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の水道水(プロフ) - いやなんかw主人公の実況が好きすぎてw (2020年11月18日 7時) (レス) id: 44bf365a1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月11日 23時

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