『Tresor 』～Cinderella★Dream～ (ページ17)

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★ ページ17

嬉しかった…。

ただホントに嬉しかった。

これだけの時間を一緒に過ごしてきて、初めて俺に見せてくれたAの心の中。

どんな事でも受け止めるから…

もっともっと俺にAを見せて？

『そのうちできる事が当たり前で…親の望むいい子でできる子でいなきゃならないって自分で自分にプレッシャーかけてたの。バカみたいでしょ？』

Aはただ諦めたんだ…

逃げたんじゃない。

頑張る事に疲れただけ。

だから頑張って1番でいようと思わなくなった。

『そんな偽りだらけの私を妹は憧れだって言ってくれたわ。それが余計に…辛かった…。』

妹ちゃんの事だってホントに憎いわけじゃない。

ただ可愛い妹にそんな感情を一瞬でも持った自分が許せないだけなんだろう。

大丈夫…

大丈夫だよ？

俺はちゃんと全部を受け止める。

いつか目を見て俺の気持ちの全部を伝えられたらいいな…。

・・・『なぁ？ニノ…暇？』

仕事に没頭してる俺にかけられた遠慮がちな声。

どこをどう見たら俺が暇に見えるのか。

ゲームアプリが大ヒットしてくれちゃって、次作はそれ以上を社長様から期待されて大変なのよ？ニノちゃんは。

返事をせずカタカタとキーボードを打ち続ける俺の横に立ったままのイケメン秘書。

『ん？どうしたのよ？社長様が何か言ってんの？』

『いや…社長は別に…。』

じゃぁ何だって言うんだ？

言いづらそうにしてるからよっぽどの事だろうと思ったんだけど。

『松潤～？俺は暇～。』

『いや、お前は早くキャラ仕上げろよ。プログラムも途中だろ？』

『絵はもうやった。』

マジかとおっさんのPCを覗き込むと俺のオーダー通りのイケメンが微笑んでる。

『ちなみに松潤イメージで描いてみた。』

えっへんとばかりの自慢気な表情。

『んじゃ智もお願いできるか？』

『だから何？何をさせたいのよ？』

そこまで勿体ぶるって…

『………ホスト…。』

『《は？》』

Jの口から出た言葉が予想外過ぎて、おっさんとハモった。

『社長が道楽で買い取ったホストクラブを俺が任されたんだよ。』

なんで俺がとでも言いたげな顔。

『で？俺らにごホストをやれと…？』

どこがどうなったらそうなる？

『いや、俺ら素人も素人よ？しかも今かなり忙しい。』

彼らは彼なりにプロ意識とプライド持って仕事してんだろうし。

『毎日じゃなくていいんだよ。金土だけでも…。頼むよ～。』

泣きそうな顔のJをほっとけるわけもなく、ため息をつきつつ頷いた。