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自己嫌悪を繰り返して縋る先は決まってて…
「お前の妹ちゃんに会ってみたいな。」
ベッドの上でタバコをふかしながら、なんて事のないようにふいに零した。
いつかは言われるかも…なんて思ってたけど、お互い深入りしないカンケーを続けてきた私達は家族の事なんて話す必要もなく…
簡単な家族構成くらいは知ってても、どこで何をしてるとか言いもしないし聞きもしなかった。
「いやよ。可愛い妹が悪い男の毒牙にやられたらたまったもんじゃないわ。」
「いいお姉ちゃんなんだな。」
そう言った二宮の声があまりに優しくて…
「……いいお姉ちゃんなんかじゃないわ…。」
こんな私を褒めてくれてるのに、なぜか逆に幻滅させたくなった。
二宮には真実を言いたかっただけなのかもしれない。
だって二宮は………
「…A？」
これだけ一緒にいれば、顔色が変わったり声色の変化で感情が揺さぶられてるのがお互いに察す事がわかる。
心配そうに私を覗き込む二宮の目をこれ以上曇らせたり、悲しみに染めるのは私にも耐えられそうにない。
自分が罪悪感に耐えられず結局はまた二宮に甘えるだけなもかもしれないけど…。
「だいぶ…歳が離れてるのよ。」
「あぁ。」
「妹が生まれるまでは私は一人娘で可愛がられて…。」
そこまで言うと察しのいい二宮は隣に寝転がる私を抱きしめた。
「……両親を取られた嫉妬とかじゃないのよ？そういうんじゃなくて…。」
素直にその胸に顔を埋めると二宮は更にキツく私を抱きしめる。
「なんでも後回しにされるのよ。頑張って運動会で1番でもテストで100点取っても…褒められずに余計にあんたはしっかりしてる子って思われるだけで…。」
10歳も離れてたら手が掛からない歳の私なんてそんなものなんだろうけど、当時はそれが寂しくて…。
「悪い親ってわけじゃないんだけど…今となってはしょうがないってどこの家もそんなもんだって思えるけどね。」
10歳の子供には理解できても受け入れられなかった。
「だから私、あんまり妹が好きじゃないのよ。」
「そうか…。」
「ね？私って悪いお姉ちゃん『いんじゃね？』」
予想外に肯定の言葉が聞こえて、二宮の胸からそっと顔を上げると見た事もないくらい優しく微笑んでいて…
「Aは優しい、いいお姉ちゃんだよ。」
どういう風に受け止めたらそう思うのか二宮の思考回路は理解できないけど、その言葉に救われたのは確かな事だった…。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2020年2月8日 7時
