*NEARER

Rest up [msmgn] #req. ページ39

Setting = 包容力のある彼女

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Mushimegane side
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「うわ。」

…最悪だ。
と、心の声が漏れる。


長年愛用してるパソコンにガタが来たのは先月の上旬。買い換えるのも移行する時間も惜しいので だましだまし使っていたが、ついにキーボードまで侵食してきたようで文字が打てなくなった。

そこから2時間半かけて なんとか編集作業を終わらせたのに、動画に変換してる最中におしゃかになったのだ。


今日アップする動画じゃないことがせめてもの救いだったけど サブチャンも終わっていないしやる気が一気に全部持っていかれた気がする。


…ここで、冒頭に戻る。

あーあ。最悪だ。


座ってたソファーにゴロンと横になって動かなくなったパソコンを見詰める。

パソコンが壊れたことやデータが飛んだことが悲しい訳じゃなくて、悪いことが起きてしまったのが僕のギリギリ繋いでた心をぽきっと折ったんだ。


さっさと新しいパソコンを調達して作業に取り掛からないといけないのに動きたくなくて、そのまま、ソファーに置いてあるクッションに顔をうずめる。
ゆっくりと微睡んで、じわじわと思考が放棄される。


平日の昼下がり。

眠気に抗わずにそっと目を閉じた。


.


「あ、起きた？
そんなところで寝てたら風邪ひいちゃうよ、虫眼鏡さんや。」


ぱちりと目を開けるとAが立っていて、優しく髪を撫でられた。

毎日のように見てるはずの顔が何だか懐かしく感じて、手首を引っ張って抱き寄せた。
驚きながらも素直に僕の背中に手をまわしてくれて心があたたかくなる。


「…おかえりA」

「うん、ただいま」


迎えられることは多くても僕がAを迎えることは少ないから、小っ恥ずかしい様な気持ちを抱きつつ緩やかに過ぎる数秒が長く感じた。

少しして ご飯の用意しなくちゃね、と口にしながら離れようとするAをもう少し独り占めしたくて 柄にもなく二人きりでの外食を提案した。


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