*NEARER

恋のはじまり [tty] #req. ページ13

Setting = リスナー (てつや推し)

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心臓が飛び出そう
どうしよう。どうしよう。


グルグルと頭の中を占めているのは、ついに来週となった東海オンエアの単独イベントのチケットだ。

先週受け取ったのにもかかわらずチケット運がない私は開けるのを渋って1週間経過していた…


「整理番号1番、とか幸運すぎて逆に怖いよ…」


そう、さっき意を決して開けたところまさかの1番。

気が動転するに決まってる…
だっててつやくんの目の前取れるじゃん。やばい。


どうしよう。
頭を抱えながら考えても全然いい案は浮かんでこない。


ただ救いなのは、1週間前にこの事実に気づけたこと

準備する時間があるってことだ


こんなチャンスはもう巡って来ないかもしれない。だからこそ一番オシャレして一目だけでも見てもらいたい。


「明日髪切ろう…カラーも。
服も買いに行かなきゃ。やばいどうしよう…」


1秒でも目が合ったらもはや記念日だ。


(出来ることは全部しよう、)
と心に決めて週末のイベントに向けて気合を入れた。


.


「ほ、本当にやばい。」
「人生に1度しかない幸運な席じゃん、楽しまないと〜！」
「無理だよ心臓飛び出そうだもん…」


ケラケラと笑う友達は整理番号が丁度半分くらいのところだったので 一緒に入場は出来ないし、帰りは寄る所があるからと1人にされてしまった。

行きだけは一緒に行こうと頼み込んだからもうワガママは言えない。

数日前から相談して てつやくんの好きそうなコーデを一緒に考えてもらったし…


「A自信持って、いつも可愛いけど今日は特別可愛いし。大丈夫。」

「ううありがとう…頑張る。」


そう、今日のコーデは上から下まで完璧だ。
(友達のセンスが光りすぎていると言っても過言ではない)


ゆるふわに巻いた髪は栗色からサーモンピンクへのグラデーションカラー
可愛いけど派手すぎないワンピース(勿論オレンジ色)
薄手でオーバーサイズの白いカーディガン
ちょっとだけヒールのついた靴

今日だけだからとつい気合を入れてキラキラ光るアイシャドウを塗ったし
いつもなら気を抜いてしまうリップもちゃんとメイクに合わせたピンク色だ。


「見てくれるかな…？」
「見るよ。ほら並ぼ」
「〜〜もうそんな時間？」

整理番号順にお並び下さいーというスタッフさんの声が聞こえてああもう逃げられないなと察した。


――― 夢のような時間がはじまる。


.

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