*NEAR

　 ページ10

.


「着いたー！！」


車から降りてきゃっきゃと浮かれる私を優しく見詰める彼にまた惚れ直したのは内緒だ。
ついでに、車から降りてすぐに手を掴まれたのも。


「すげーまじで一面青だなここ。」
「ね！すごい〜」


繋がれた手と綺麗に咲いてるネモフィラを見てルンルンと歩いていると突然彼が足を止め後ろに引っ張られる。

「わ、？」

カシャリとiPhoneのカメラのシャッターが切られた。

「え、！いつ出したのとしくん。」

二度目のシャッター音がしてさっとポケットにしまってしまった。
…早業。

私もバックからiPhoneを取り出して彼に向けてシャッターを切った。


「なあそんなのに夢中になんなよ。」

ぱっと大きい手でカメラが覆われ、そのまま取られてしまった。
良い写真が撮れてたのに、と口に出す前に彼の唇で塞がれる。

なにそれ。
格好いいがすぎる。


きゅんとときめく心臓を落ち着かせるために、繋がれた右手に力を込めると強く握り返される。

あ、逆効果だこれ。


「ばか、意識しすぎ」


ごめんね、残念ながら君にべた惚れなんだ。

ドキドキと忙しなく響く音が愛しいと感じたのは はじめてなんだ。



「ほら、惚れたもん負けって言うじゃない。」

「なにそれ、ばか可愛いやん」



＿＿＿ / end



#


「一面りょうくんカラーだね！」
「は、なんでそれ言うの」
「本当の事じゃんか。」
「……嫉妬するだら。」
「……これは何色だーっ」
「？緑」
「じゃあ私はとしみつ色だね？」

「は、おまえ、…っ」
(〜っ今夜覚悟しとけよあほ)


.
最後の+αエピソードの これ はパステルグリーンのワンピースを指してます。分かりづらすぎる。


Nemophila / Baby blue eyes (ネモフィラ)
毎年春に青と白の小さな花を咲かせるお花です。
花言葉は可憐、あなたを許す、どこでも成功。(生かせてないかも知れませんが…。)

おいで [ymmr]→←Nemophila [tsmt]

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す