君は俺らのもの。

with TETSUYA 3 ページ39

てつやside


いきなりの俺の行動にAはまだ笑顔を残したまま｢しんよ？｣と俺を止めようとする。

いつもは大好きなAの笑顔。でも今は、この笑顔を何とかして崩したかった。隠し撮りの時のこと仕事だって切り替えて編集に取り掛かってもAとりょうが笑顔でデートしてるのなんか見たくなかった。全然作業捗らんしどうしよっかなって思ってた時にAからの提案。いつもなら頼った。

でもこれだけは。

なんだか悔しくて仕方なくて。何もかもりょうに負けたと、りょうにAを取られると不安になって思わずAに醜い感情もぶつけた。でもAは。




｢しん。てつや、離れて｣

て｢なんで、りょうとやったらするやろ｣

｢相手が誰かとかそんなん関係ない。今Aはやることがある、だから出来ん、そんだけ｣

て｢俺には関係ある、ねえどうなん。りょうに誘われたら、こうやって押し倒されたら。Aほんとに断る？無理、やだって言う？｣

｢…｣

て｢言わんやん、絶対｣




醜い感情をぶつけたのは、きっと俺がAに構って欲しかったから。もっと俺を見て欲しかったから。でもAは、｢てつやも好きです｣って言った。｢てつや"も"｣って。

おまけにこれで満足？とあしらうような言葉まで足されて、胸が痛かった。苦しかった。もうこの際、無理矢理でもなんでもよかった。余裕そうな笑顔を消して俺だけを見つめてくれるなら。




て｢愛しのりょうに聞かせてやるわ、Aはお前のじゃねえって｣

｢待って、てつや、ほんとに、辞め｣

て｢辞めんよ、俺は。りょうみたいに大人じゃないし、嫌がる女の子だって抱ける。例えば今のAみたいな子なら簡単に｣

｢…！｣




Aの目に少しだけ焦りが見えた。でもまだまだ。少しじゃ足りない。パーセンテージの5もいってない。そんなのダメなんだ。もっと、もっと。俺だけを。


執着なんかじゃない。嫉妬なんかじゃない。ただ、俺を見ていてほしいだけなんだよ、A。




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