紫陽花 ページ8
「A、ちょっと出かけん？」
「？珍しいね、別にいいけど」
とある日の昼下がり、特に何か用がある訳でもないがなんとなく彼の家にお邪魔して、持参していた小説を読んでいた時である。
普段は部屋に篭ってゲームをするか、ベイブレードをするか、編集をするかの3択の彼が珍しく出掛けないと声を掛けてくる。
正直驚いたというのが本音だが、珍しい誘いなので読んでいた本を栞を挟んで閉じる。
「どこか行きたいところでも？」
「ちょっとね」
ソファの上に無造作においてあった鞄を持ち、もう既に用意を済ませていた彼の後ろを追いかける。靴を履きながら問えば誤魔化され、何だろうかと首を傾げる。
いままでも何度かこんなことがあった。たまに彼はよくわからない行動をするので、慣れたといば慣れたのだが、やはり目的地のわからないドライブに行くのは少々の不安はあった。
エレベーターでした迄降り、駐車場に止めてあった愛車に乗ろうとすると鍵を奪われる。彼を見上げれば助手席に行へいけと言うように顎を動かされた。本当に珍しいなあ。
普段なら私の運転がいいと駄々をこねるぐらいなのに、率先してこの車を運転することはほとんどないと言うのに。
なにか悩みでもあるのだろうか。高校時代はよく彼の愚痴を聞いてあげたものである。
「眠かったら寝てていいよ」
「別に眠くないよ、それに」
「それに？」
前を見ながらちらりと一瞬こちらに目をやるてつやにそっと笑ってやり何でもないという。
私は彼が運転している姿を見るのが好きだったりする。前に1度それを言ったら何故か顔を赤くしながら怒られたのでそれ以来は言わないようにしているが、それを誤魔化すと膨れっ面で言ってみん！って言いながら怒ってくる。どのみち怒られていることには変わりないなあと思いながらなんでもないよともう一度誤魔化した。
「ねぇ、本当にどこいくの？」
「だから秘密」
「この先ってなんかあったっけ？」
「着いてからの秘密」
まあ、彼なりのプレゼント的ななにかなんだろうなとそっと察して窓の外を見やる。流れゆく景色はまるで自分たちから逃げているようで、一瞬目を止める暇もない。早々と動く景色をぼんやりと見ていたら、なんだか睡魔が漂ってきて、ふわあ、と欠伸がひとつ漏れた。運転席からはくすりと笑い声が聞こえて、寝ていいよという言葉の代わりに頭を一度優しく撫でられ、その手の暖かさに安心して目を瞑った。
なんだか今日のてつやは優しくて擽ったい。
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Sfela-すふぇら-(プロフ) - mai?あまっちさん» リクエストありがとうございます！お時間頂きますが必ず更新致しますので少々お待ちください〜！暖かいおっ言葉ありがとうございます！ (2018年8月7日 17時) (
レス) id: b5335ed803 (このIDを非表示/違反報告)
mai?あまっち(プロフ) - はじめまして！いつも見ています！！あの…リクなんですけど…YouTuber理解王のやつが読みたいですプリッとChannelも好きなので…遅くなってもいいのでお願いしますm(__)m (2018年8月4日 11時) (レス) id: fec9aded6d (このIDを非表示/違反報告)
: - 更新嬉しいです！頑張ってください* (2018年7月11日 0時) (レス) id: 2561c8f55b (このIDを非表示/違反報告)
Sfela-すふぇら-(プロフ) - ＊じゃっきー＊さん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます！ありがとうございます、今後も紫陽花の君を宜しくお願い致します…！ (2018年5月27日 14時) (レス) id: 29f5b6d481 (このIDを非表示/違反報告)
＊じゃっきー＊(プロフ) - 初めまして、いつも拝見させて頂いています。こんな素敵な作品を公開して下さって本当にありがとうございます！更新の無い日も通って遡って楽しんでおります。どうか無理をなさらず、楽しく更新して下さることを願っています。これからも応援しています！ (2018年5月26日 18時) (レス) id: 57c4a7bd3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sfela-すふぇら- | 作成日時：2018年5月16日 1時
