夏 ページ13
じりじりと照りつける太陽が肌を焼き焦がす感覚に嫌気がさす。紫外線を遮断しようと思い身にまとった長袖を貫通して直に焼かれているような感じがしてどうにも気持ちが悪い。
「あっつぅ･･･」
「誰だよこんな中外撮影とか言った奴！」
オレンジから茶色に染めた髪色が太陽に反射してどことなく金髪のように見える。お前だよという言葉を、とうにぬるくなってしまった水とともに喉の奥に流し込んだ。
これで二本目なのだがそれでも足りない。最後の一滴を飲み込んでペットボトルをぐしゃりと潰した。
「一回帰らん？流石に熱い･･･」
「だいたいなんでお前は長袖なんだ！見てるだけで熱い」
「んなこと言われたって、焼けるのは嫌だし」
「どうせ痛いからとか言うんだろ？」
「だいせいかーい」
ピンポンピンポーンと茶化せば、茶化すんじゃないと頭をぐしゃぐしゃと撫ぜられる。熱気のこもった頭が少しだけ涼しくなったような、いやきっと気持ちだけだろう。汗ばんだ頭皮を触らせているのが申し訳くなりその手を優しく払った。
「ほらてつや、早く家に帰ってクーラーのきいた部屋でゆっくりとアイス食べよう。」
「賛成！！行くぞ！！」
提案した瞬間に腕を強く引かれそのまま走り出される。全く勝手だなぁ、なんて思っているがどこか楽しんでいる自分に少しだけ呆れてしまったが、しょうがないことだろう。現に彼は自分を振り回していることには違いないのだから。
家に入ればクーラーが聞いた涼しい部屋からの冷気で体の熱が消えていく感覚。
気持ちのいい感覚に背筋を伸ばした。
「クーラー最高」
「本当に、最高。」
てつやは基本的にクーラーを消すことを知らない(と言うと少し語弊があるが)ので、普段なら怒るところだが今回は助かった。
「アイス食べる？」
「食べる、何がある？」
リビングに向かい、冷凍庫をのぞき込む彼の隣に並んで覗き込んだ。箱に入ったバニラの棒アイスと、かき氷が2つ。バニラのアイスを抜き取り袋を開ける。
「ん〜！んま、」
「俺かき氷にしよ」
冷たくて甘い感覚に幸福かを覚える。美味しい、夏はやはりアイスだな。
隣に座るてつやの熱気も、気にならないほどに芯まで冷える感覚が堪らない。
「あ、」
「？…あ、いる？」
「ん、あーん」
口を開き待機しているてつやの口にアイスを突っ込んでやればぱくりと齧る。
「美味しい？」
「美味しい」
暑い夏、2人で笑い合う午後2時の出来事。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Sfela-すふぇら-(プロフ) - mai?あまっちさん» リクエストありがとうございます！お時間頂きますが必ず更新致しますので少々お待ちください〜！暖かいおっ言葉ありがとうございます！ (2018年8月7日 17時) (
レス) id: b5335ed803 (このIDを非表示/違反報告)
mai?あまっち(プロフ) - はじめまして！いつも見ています！！あの…リクなんですけど…YouTuber理解王のやつが読みたいですプリッとChannelも好きなので…遅くなってもいいのでお願いしますm(__)m (2018年8月4日 11時) (レス) id: fec9aded6d (このIDを非表示/違反報告)
: - 更新嬉しいです！頑張ってください* (2018年7月11日 0時) (レス) id: 2561c8f55b (このIDを非表示/違反報告)
Sfela-すふぇら-(プロフ) - ＊じゃっきー＊さん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます！ありがとうございます、今後も紫陽花の君を宜しくお願い致します…！ (2018年5月27日 14時) (レス) id: 29f5b6d481 (このIDを非表示/違反報告)
＊じゃっきー＊(プロフ) - 初めまして、いつも拝見させて頂いています。こんな素敵な作品を公開して下さって本当にありがとうございます！更新の無い日も通って遡って楽しんでおります。どうか無理をなさらず、楽しく更新して下さることを願っています。これからも応援しています！ (2018年5月26日 18時) (レス) id: 57c4a7bd3d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Sfela-すふぇら- | 作成日時：2018年5月16日 1時
