桜の季節10[Final]

登坂side ページ21

臣「謝んなよっ､」



『じゃあ…ありがとう…の…ほうが､いい…？』



臣「っ､…どっちもイヤだわっ､」



『……ふふっ…さんだいめの…ライブ…行きたいな､』



健隆「っ､」



臣「来るんだろ？」



『………だね…』








先生が病室へ入ってきた…､








先「登坂さん？分かります？」



『……はい…』



先「登坂さんは急変して､
心肺停止状態までになったんだ､
だから､すぐに赤ちゃんを出させてもらった」



『……そっか…､せんせっ？』



先「ん？」



『私の…身体は……どれぐらい持つの？』



先「え？」



『………自分の身体…だもん…､
なんとなく…わかるよ…せんせ…』



先「……まだ何とも言えない､
だから､これから全身を検査して､
強い抗がん剤治療に変えようと思ってる」



『………っ､』



臣「A？」



『……治る…見込みがあるの？……それで…』








え？





健「Aちゃん…」


隆「っ､」



『もし…見込みがないなら……もう…かえりたい､』



臣「A!!汗」



先「登坂さん？」



『治んないのに…もうあんな…辛いのやだよ…､』



臣「っ､」



『見込みがない…って事は……』








Aの目は涙を溜めたまま…､


先生の目を真っ直ぐ見ていた…､







『ただの…延命治療…にしか……すぎない…』







Aの言葉に誰もが息を飲んだ…､







Aは延命治療を受けるつもりはないんだと…､









先「もし､そうだとしても…､
少しでも長く生きたいとは思わないのか？」



『………おもわない』



臣隆健「っ､」



『大切な人の傍にも居れない…､
好きな事も出来ない…､
ただ…ツラい思いして…
ずーっと病院のベッドで寝て､外を眺めてるぐらいなら……延命治療なんて…受けなくてい､』



臣「A…っ､」



『……おみ…､の傍に居たいし…､
こうきに…まだまだっ､教えてあげたい事もっ､
ママとして､してあげたい事がいっぱいあるっ､』



臣「っ､」



『少しでもいいっ…近くで広輝の成長をっ…､
見てたいのっ…､それにっ…っ､』



臣「ん？」



『さぁちゃんは分かんないからっ…､
広輝にはっ…ママをっ…忘れて欲しくないもんっ』







忘れて欲しくないなら…､


傍に居たいなら…､







臣「なら…生きろよ!!」



『っ､』



臣「諦めんな!!!!」








俺の言葉にAは身体を震わせ､泣いた…､

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