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第98話 真実につながる鍵 ページ5

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「うわー!遅刻だー!」

爽やかな朝。とは、程遠い今朝。
壁掛け時計に目を向ければ、もうすでに部屋を出る時間は過ぎていた。

大急ぎで身支度を整え、小笠原さんがいるであろう部屋のドアをノックする。
ノックをしても返事がない。私は、一声かけてからドアを開けた。

朝陽が差し込むシンプルな部屋。
ドアのすぐ近くにある机に目を向ければ、置き手紙がある。私は置き手紙を取った。

「(所用があるので、しばらく席を外します…。ご飯は冷蔵庫の中に入っていますので、必ず食べてくださいね)」

綺麗な字で書かれた小笠原さんの文字。私は特に気にも留めず、静かに部屋を出た。



「お前、制服着てどこに行くつもりだよ」

寮を出た私に声をかけたのは、ベンチに腰掛けている草川拓弥。私服姿に身を包んでおり、私は思わず目を見開く。

「今日、開院記念日だから授業はないよ」

草川拓弥はそう言いながらベンチから立ち上がり、私の方へ歩み寄った。

「な、なんでステラ寮に…」

驚く私を見る草川拓弥。

「お前に、ちょっと言いたいことがあって」

草川拓弥はそれだけ言うと、スキニーのポケットに手を入れて歩き出す。私は、草川拓弥の後ろに着いて行った。

静かな通りを歩く私と草川拓弥。とても心地よい。

「…お前は、まだ俺のことをカンニングを仕込んだ奴、って思ってる?」

唐突すぎる質問。だけど、私の答えはある程度固まっていた。

「…仕込んでない、と思い始めてます」

今思えば、草川拓弥という男が卑怯な真似をするはずがない。草川拓弥は、自分にも周りにも正直な男だ。

「…草川さんって、いつも俺にズバズバ言いますし。考えれば、ストレートな人がそんな回りくどいことはしないかなって…」

それに、教室で予習をしている姿も見る。そんな優等生がカンニングを仕込む、なんてリスクの高いことをするはずがない。

「(小笠原さんの言う通りだ)」

−「心証や主観で物事を決めては、自分の心が貧しくなる」

あの時の私は、ついカッとなって…。真実につながる鍵をいくつも見落としてた。

それなら…私の机にカンニングペーパーを仕込んだのは誰?そして、草川拓弥が写っていたあの写真はどうなる?

「(そうだ、写真!)」

もう一度、あの写真をよく観察しよう。もしかしたら、真犯人の手がかりが見つかるかもしれない。

「その返事が聞けて良かったよ」

草川拓弥は小さく笑みを漏らすと、私の方を見る。それは、初めて見た草川拓弥の笑顔だった。

第99話 転がされてる自分→←第97話 懲罰房行きの宣告



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桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ!ご指摘ありがとうございます(;´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります!よろしくお願いします!d( ̄  ̄) (2018年12月23日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます!126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています! (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ!よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ! (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx  
作成日時:2018年5月29日 19時

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