第97話 懲罰房行きの宣告 ページ4
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月明かりが差す学院の廊下。月に背を向けて、こつこつと靴音を鳴らしながら歩く人の影がある。
影は重厚な扉の前に止まると、こんこんと軽くノックした。
*
「どうぞ」
爽やかな朝陽が、会長室を優しく照らす。
椅子に座り、長い脚を組んでいた船津稜雅はノックしてきた人物に声をかけた。
「失礼します」
そう言って入って来たのは、小笠原海だった。
小笠原海はこつこつと靴音を響かせ、椅子に座っている船津稜雅の前に立つ。
「珍しいな、一体何の用?」
小笠原海は船津稜雅を見下ろすと、机の上に写真を置いた。それは、昨朝に掲示板から剥がした写真。
「…これは、この写真は、一体どういうことですか?」
怒気を孕んでる声が、会長室に染み渡る。
船津稜雅は机の上に置かれた写真を1枚取ると、それを投げ捨てた。
「さあ」
船津稜雅は、それだけ言うと静かに席を立ち上がる。そして大きい机に手を付き、下から小笠原海を見た。
「…俺たちが、この日に何やったか気になるんだ?」
船津稜雅のそのセリフに、大きく目を見開いた小笠原海。次の瞬間、力任せに船津稜雅の顔を殴った。
よろめく船津稜雅。しかし、小笠原海を見る目は楽しそうだ。
「お前…!A様に何を…!」
小笠原海の怒鳴り声が響く。
「教えてやるよ。海がこの部屋で倒れてる間、俺とAが何をしていたのか」
船津稜雅はそう言いながら、小笠原海の元へ歩み寄る。そして、小笠原海の耳元に唇を寄せた。
「…−俺の指1つで、Aがどんな反応をしたのか」
耳奥にこだます、船津稜雅の声。小笠原海は船津稜雅の襟元を掴むと、もう一度殴った。
殴られた反動で、机の上に倒れこむ船津稜雅。その瞬間、ピーピーとうるさいアラーム音が鳴り響いた。
「はははっ。残念だよ、海。しばらくの懲罰房生活を楽しんでくれ」
会長室へ入って来たのは、スーツを着た他の執事たち。執事たちは、興奮する小笠原海を取り押える。
「稜雅!」
小笠原海の声が大きく響く。
「海も本当にバカだよね。…俺に手を上げるなんて」
船津稜雅は鼻で嘲笑うと、執事たちに顎で「連れて行け」と促した。
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桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ!ご指摘ありがとうございます(;´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります!よろしくお願いします!d( ̄  ̄) (2018年12月23日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます!126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています! (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ!よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ! (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2018年5月29日 19時