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第104話 午後からのヒカリ ページ11

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うつらうつらしていた頃。

「お疲れさま」

その声と同時に、目の前に置かれたのは小さい紙パックのジュース。
顔を上げれば、微笑みを浮かべている船津稜雅がいた。

「…ありがとうございます」

私は小さい声でお礼を言うと、再びノートに目を向ける。

「午後の小テストの予習?Aは真面目だね」

そう言いながら、当然のごとく私の隣に腰掛ける船津稜雅。私は、少しだけ距離を取った。

「…そんなに警戒しないでよ。Aに良いニュースがあったから伝えに来ただけ」

船津稜雅はそう言うと、1枚のメモを見せる。ちらりとメモに目を向ければ、小笠原さんの文字が紙面に載っていた。

「(午後に教室へ戻ります。小笠原海)」

ハッとして顔を上げた私。目の前にいる船津稜雅は、優しい微笑みを浮かべながら私の背中をポンポンとたたいた。

「午後から、教室へ来るみたいだよ。良かったね」

−小笠原さんに会えるかもしれない。

その事実だけで、私はさっきまでの眠気も陰鬱とした気分も吹き飛ぶ。

「(ホッとしたら喉が渇いてきた…)」

私は船津さんにもらった紙パックのジュースにストローを挿し、一口飲んだ。



迎えた午後の授業。
教師の掛け声と共に、紙をめくる音が響いた。

私は、汗ばんだペンを持ちながら答えを紙面に記していく。

頭が驚くほど冴えている。そして感じる高揚感と胸の高鳴り。
私は、久しぶりに興奮していた。

びっしり埋まった解答用紙。時間終了まで何度も見直しをして、私は漏れや抜けがないか入念にチェックした。

そして、教師の手によって回収されていく解答用紙。教師にちらっと顔を見られたけど、特に気にも留めなかった。

第105話 突き飛ばす自尊心→←第103話 本当は怖くて寒い



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桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ!ご指摘ありがとうございます(;´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります!よろしくお願いします!d( ̄  ̄) (2018年12月23日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます!126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています! (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ!よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ! (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx  
作成日時:2018年5月29日 19時

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