最重要機密事項！ (ページ43)

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第43話小笠原さんに感謝ページ43

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佑亮くんが教室に戻る。一瞬にしてざわざわと騒がしくなる教室。草川拓弥を除いた私たちは、福田佑亮を取り囲んだ。

「…Aくん、ありがとう」

私に向かってお礼を言う佑亮くん。首を傾げていたら、こっそり耳打ちしてくれた。

「小笠原さんがね、助けてくれたんだ。お礼言いそびれちゃったから、今度お礼しに行くね」
「私は何もしてないけど…小笠原さんに伝えるね」

きらきらした佑亮くんの笑顔を見て、ほっと胸をなでおろす私。この間見た時より、顔が輝いている。

「福田くん。ちょっと来て」

そう言ったのは1人の教師。佑亮くんは、私たちに一言断りを入れると、輪から抜け出した。

「ケガ人もいるし…残りの生徒は部屋に戻って自習で」

教師は私に目を向けると、そう言い残して佑亮くんとともに教室を立ち去る。取り残された私たちは、指示された通りに自分たちの荷物を片付け始めた。

＊

噴水前をのんびり歩いていた時、「A様！」と大きな声で呼び止められる。後ろを振り返れば、そこにいたのは焦り顔の小笠原さん。

「あ、小笠原さん！おかえりー」

ばらばらと落ちる教科書。知ってる香りと暖かいものが私を包み込んだ。

「え…？小笠原さん？」

驚く私の耳元で聞こえる、小笠原さんの小さな声。

「申し訳ありません…。私が…お側に居なかったせいで…」

そう言いながら、小笠原さんはさっきよりもきつく抱き締める。私は、ゆっくりと小笠原さんの背中に手を回した。

「…佑亮くんから聞きました。
佑亮くんが、ありがとうって。あと、私が言うのもおかしいですけど…佑亮くんを助けてくれて、ありがとうございます」

小笠原さんは、そっと私を離す。そして、じっと目を見つめた後に小さく微笑んだ。