第36話 福田佑亮の行方は ページ36
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「…ここは、旧校舎…」
途絶えた足跡。その先にあったのは、朽ちた旧校舎だった。
割れたステンドグラスと、蔦で覆われた古い扉を開ける。ギィーっと音を立てた扉の先にあるのは、廊下の床の隙間や壁のヒビから生えた雑草たちだった。
ほこりっぽい旧校舎に足を踏み入れると、音を立てて扉が閉まる。コツコツと響く自分の靴の音。ところどころ朽ち果てており、床が大きく抜けて歩けない場所が多々あった。
ふと、後ろでタタタッと聞こえた小さな足音。角から覗き込めば、ちょうどバタンと音を立てて扉が閉まる。そして、ガチャンと重たい鎖の音と鍵をかける音が辺りに響いた。
「(はあ…。これはどうしましょうか)」
小さく息を吐きながら、足を進める。
*
ピリピリしつつも静まり返っている教室。村田祐基と草川拓弥は、互いを視線に入れないように大げさにそっぽを向いている。その光景を心配そうに見守る吉野晃一と、悠然と読書をしている船津稜雅の姿がそこにあった。
医務室から戻った私は、そっと自分の席に腰掛ける。
「佑亮はどこにいるんだ!」
廊下の奥から響く怒号。大きな足音が、この教室へ徐々に近付く。
「落ち着いてください、福田様!」
教室に現れた怒り心頭の老父を抑え込む他の執事たち。一目で、佑亮くんのお祖父ちゃんと分かった。
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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2017年12月24日 17時