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第36話 福田佑亮の行方は ページ36

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「…ここは、旧校舎…」

途絶えた足跡。その先にあったのは、朽ちた旧校舎だった。

割れたステンドグラスと、蔦で覆われた古い扉を開ける。ギィーっと音を立てた扉の先にあるのは、廊下の床の隙間や壁のヒビから生えた雑草たちだった。

ほこりっぽい旧校舎に足を踏み入れると、音を立てて扉が閉まる。コツコツと響く自分の靴の音。ところどころ朽ち果てており、床が大きく抜けて歩けない場所が多々あった。

ふと、後ろでタタタッと聞こえた小さな足音。角から覗き込めば、ちょうどバタンと音を立てて扉が閉まる。そして、ガチャンと重たい鎖の音と鍵をかける音が辺りに響いた。

「(はあ…。これはどうしましょうか)」

小さく息を吐きながら、足を進める。
頽廃(たいはい)した旧校舎は、一種の不気味さと神秘さを感じさせた。



ピリピリしつつも静まり返っている教室。村田祐基と草川拓弥は、互いを視線に入れないように大げさにそっぽを向いている。その光景を心配そうに見守る吉野晃一と、悠然と読書をしている船津稜雅の姿がそこにあった。

医務室から戻った私は、そっと自分の席に腰掛ける。

「佑亮はどこにいるんだ!」

廊下の奥から響く怒号。大きな足音が、この教室へ徐々に近付く。

「落ち着いてください、福田様!」

教室に現れた怒り心頭の老父を抑え込む他の執事たち。一目で、佑亮くんのお祖父ちゃんと分かった。

第37話 佑亮くんの気持ち→←第35話 船津と医務室にて



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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx  
作成日時:2017年12月24日 17時

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