第25話 3ヶ月後にむけて ページ25
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窓際に寄れば、ふわふわと舞い踊る花たちの中に佇むチャペルがある。
「…ここのドームに、素敵な逸話があるのをご存知ですか?」
不意に振られた話題。
「逸話?」
私は、外の景色から後ろにいる小笠原さんへ目を向けた。
小笠原さんは、優しい笑みを口元にのせるとゆっくりと話し始める。それは、驚くほど素敵な逸話だった。
まとめると…月が輝く夜に、このドームで口付けを交わした2人は永遠に結ばれる。
というもの。
ルミエール学院は、数年前まで共学として運営していたらしい。男子校へ変更したのは、女子生徒の激減によるものだとか。
「(ここの学院長は自由だな)」
そんなことを考えながら、小笠原さんの話に耳を傾ける。
「…A様の目的を達成させるために、ここの場所をお教えした次第です。
婚約者探しのご協力が出来ればと思いまして」
そう言いながら、胸元に手を当ててお辞儀をする小笠原さん。
「(婚約者か…)」
援助者を探すのに、骨が入りそうだ。
「A様」
小笠原さんはそう言いながら、私に近付く。何だろうと思いながら、小笠原さんの目を見た。
「3ヶ月後に、ルミエール学院主催の定例仮面舞踏会が執り行われます。
それまでに、社交ダンスの練習とダンスパートナー候補を決めてください。
…仮面なら、顔が分かりません。いつも通りのA様で問題無いでしょう」
小笠原さんは最後に、私に向かって微笑む。そして、私の手を取ってドームから連れ出した。
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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2017年12月24日 17時