最重要機密事項！ (ページ23)

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第23話ミステリアスな人ページ23

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「はー…疲れた！」

寮の部屋に入った瞬間、ふーっと大きく息を吐く。後ろを振り返れば、柔らかく微笑む小笠原さんの姿が映った。

「小笠原さんって、すごくダンスが上手なんですね！びっくりしました！
村田さんと一緒に社交ダンスするのは予想外でしたけど、とても踊りやすかったです！」
「ふふふっ、それは良かったですね」

小笠原さんは嬉しそうに微笑む。そして、靴紐でも緩んでいたのか、突然片膝をついた。

「…Would you like to dance with me？」

そう言いながら、また私の手を取る小笠原さん。靴紐を結ぶためではなく、私に跪くために片膝をついたようだった。
じっと見つめ合った後、私の手の甲にキスを落とす小笠原さん。

いつも思うけど…

「(女慣れしてるというか、なんというか…)」

それでドキドキしてしまう私も、やっぱりちゃんと女なんだなあと痛感する。

返事をしようとした時、ぐ～っと鳴るお腹。音の元を辿れば、私のお腹から。小笠原さんの方へ目を向ければ、小さく微笑んでいる。

「これは可愛いお返事ですね。では、夕食にしましょうか」

小笠原さんはそう言うと、てきぱきと夕食の準備をすすめた。

＊

「小笠原さんって本当にすごいですよね。
こう…不得意なことがないというか」

シャキシャキしたサラダの中にフォークを刺しながら、私は小笠原さんに言葉を投げる。

「光栄です」

いつものように、柔らかく微笑む小笠原さん。

「小笠原さんって、何か不得意なことはありますか？」

なんとなく言いながら、サラダを口の中に運ぶ。ちらりと小笠原さんの方に目を向ければ、考えているのか黙ったまま。

「…さあ。A様から見て、どう思われますか？」

小笠原さんは私に視線を戻した後、はぐらかすような返答をした。

答えたくないのか、答えられないのか。小笠原さんは、ミステリアスな人だ。