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第16話 自分で蒔いたタネ ページ16

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「A様。残念ですが、ご自身の立場をお忘れなく。
あなた様は、元総理大臣・桜庭新八の遠縁にあたる息子…とおっしゃいました。

…外部の人間にあなた様のことが漏れ、スクープでもされたらここに居られなくなります。
これは、あなた様のためなのです」

軽率だった。ぐさぐさと、心に小笠原さんの言葉が刺さる。
1度吐いた嘘は、徹底して突き通さなければならない。

嘘を吐くたびに心が詰まるのは、周りの人間を騙している罪悪感と…これが原因。

「…自分で蒔いたタネは自分でちゃんと管理しろ、ってことね」

私のセリフに、小笠原さんは何も答えない。ただ、背中を向けているだけ。

「着替えは、お済みでしょうか。
外で福田様がお待ちしております。向かいましょう」

そう言って、私の方を振り向く小笠原さん。そして、手でドアを示す。

「え?小笠原さんは着替えないんですか?」
「これが私の一張羅(いっちょうら)でございます」

では。と言いながら、小笠原さんは私に手を差し出した。

「あ…、その前に。失礼します」

着ている黄色いチェックシャツを脱がし、それを私の腰に巻く小笠原さん。

「こちらの方がお似合いですよ」
「あ…ありがとうございます…」

思わず顔が赤くなる。小笠原さんはいつものように笑うと、スタスタとドアの方へ向かった。

「では、福田様の元へ向かいましょう。
…くれぐれも、言動には気をつけてくださいね」

自分の口元に指を押し当て、不敵に微笑んだ小笠原さん。
私は小さく息を吐くと、小笠原さんが開けてくれたドアに足を踏み出した。

第17話 学院内のマルシェ→←第15話 自由と呪縛、故に



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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx  
作成日時:2017年12月24日 17時

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