検索窓
今日:17 hit、昨日:1 hit、合計:68,690 hit

第14話 青空と花畑と福田 ページ14

.

「でも…なんで準礼装なんですか?」

花々が咲き誇る道の中、着たこともないスーツを上から見下ろし、自分より身長の高い小笠原さんを見上げる。

「失礼いたしました。まだ説明していませんでしたね。
週に1度、朝にミサがございます。そのための準礼装です」

ミサって…キリスト教徒が毎週日曜日にするお祈りのこと、だよね?

「ミサ…。私…俺は無宗教なんですけど…」
「キリスト教徒でなくても、朝のミサに参加するのはルミエール学院生全員の義務です」

義務ならしょうがない。
私は口を噤み、辺りを見回した。

「…あ、おはよう!!!」

そう言いながら、横道から現れたのは福田佑亮だった。胸ポケットから黄色のラインが入ったチーフが顔を覗かせている。

「あ…おはよう、ございます」

私は福田佑亮にペコリと頭を下げ、朝の挨拶を交わした。

後ろ髪を掻いたり、視線を泳がせたりと落ち着きがない福田佑亮。何となくその様子が気になって、私は首をひねった。

「…あの、良ければ一緒に…チャペルに行かない?」

突然の誘いに驚いてしまう。目の前にいる福田佑亮は、ちょっと恥ずかしそうにもじもじしていた。
青空と花畑を背景に、ちょっと照れ笑いする福田佑亮はとても…可愛い。

「…ここはお誘いをお受けしても良いのでは?」

小笠原さんが小さい声で私に囁く。

「あっ、はい。ぜひ一緒に行きましょう!」
「本当!?良かった!」

私が了承すると、福田佑亮は嬉しそうに私の手を取った。

「あ、僕は福田佑亮!佑亮って呼んで!
よろしくね、Aくん!
あと、タメで良いよ!クラスメートなんだし!」
「あ、うん!よろしくね!」

ぶんぶんと大きく握手する福田佑亮。人懐っこい笑顔に、私も自然と笑顔になった。

第15話 自由と呪縛、故に→←第13話 女のままだったら



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
154人がお気に入り
設定タグ:超特急 , 男装
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx  
作成日時:2017年12月24日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。