第14話 青空と花畑と福田 ページ14
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「でも…なんで準礼装なんですか?」
花々が咲き誇る道の中、着たこともないスーツを上から見下ろし、自分より身長の高い小笠原さんを見上げる。
「失礼いたしました。まだ説明していませんでしたね。
週に1度、朝にミサがございます。そのための準礼装です」
ミサって…キリスト教徒が毎週日曜日にするお祈りのこと、だよね?
「ミサ…。私…俺は無宗教なんですけど…」
「キリスト教徒でなくても、朝のミサに参加するのはルミエール学院生全員の義務です」
義務ならしょうがない。
私は口を噤み、辺りを見回した。
「…あ、おはよう!!!」
そう言いながら、横道から現れたのは福田佑亮だった。胸ポケットから黄色のラインが入ったチーフが顔を覗かせている。
「あ…おはよう、ございます」
私は福田佑亮にペコリと頭を下げ、朝の挨拶を交わした。
後ろ髪を掻いたり、視線を泳がせたりと落ち着きがない福田佑亮。何となくその様子が気になって、私は首をひねった。
「…あの、良ければ一緒に…チャペルに行かない?」
突然の誘いに驚いてしまう。目の前にいる福田佑亮は、ちょっと恥ずかしそうにもじもじしていた。
青空と花畑を背景に、ちょっと照れ笑いする福田佑亮はとても…可愛い。
「…ここはお誘いをお受けしても良いのでは?」
小笠原さんが小さい声で私に囁く。
「あっ、はい。ぜひ一緒に行きましょう!」
「本当!?良かった!」
私が了承すると、福田佑亮は嬉しそうに私の手を取った。
「あ、僕は福田佑亮!佑亮って呼んで!
よろしくね、Aくん!
あと、タメで良いよ!クラスメートなんだし!」
「あ、うん!よろしくね!」
ぶんぶんと大きく握手する福田佑亮。人懐っこい笑顔に、私も自然と笑顔になった。
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作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2017年12月24日 17時