(続編) ページ18
「Aが今から買い物行くん俺のせいじゃん。」
「いや、別にそういう訳じゃ…。」
「…いいから!」
「ちょっ!?」
手でもなく、腕でもなく、手首を掴まれた。
私が今から買いに行くものは午後からの撮影で必要なものだ。
虫さんに「僕らが撮影している間に行ってくれたらいいから」と元々言われていたから行くだけなのに、どうやらとしみつは自分のせいだと勘違いして、責任を感じているらしい。
申し訳なさと、予想外の発言から思わず本当の事も言えず余計に不機嫌にさせてしまった。
としみつは私の手首を逃がさないと言わんばかりの勢いで掴んだままエレベーターのボタンを早く来いよ、と連打する。
あんまり連打するのは良くない気もするが、まあ当然言えるはずも無く。
車に乗り込んだら機嫌の悪い原因を聞いてみようかな、その前にりょう君か虫さんにでも相談してみようかな、と思案していると無意識にエレベーターに乗り込み手を引っ張られ車に乗り込んでいた。
車がゆっくりと発進する。
……安定に、気まずい。
車のウインカーのカチカチ音と、咳払い等の微かな音だけが響く車。
あまりにも気まずすぎて虫さんに相談しようとスマートフォンを取り出したところで、はたと虫さんが編集していたことを思い出した。
編集作業を邪魔するのはよくないしりょう君に相談しよう。
「りょう君りょう君」「としみつの機嫌がびっくりするほど悪いんやけどなんか知らん?」「機嫌悪いのに買い出し自分から着いてきてくれてんけど…」
一気に三通のメッセージを送信する。
早く既読がついてくれ…!と必死に願っていると神様が味方してくれたのか、すぐに既読がついて返信がきた。
「あー」「原因は分かってるし、後で俺から言っとくよ笑」
理由を聞いたのに教えてくれない。
あまり言いたくないんだろう、そんな気がして、「ありがとう!ほんまごめん!」とあまり深く聞かないことにした。
本当にどうしたんだろう、と運転中のとしみつを一瞥する。
運転はとても丁寧で相変わらず綺麗な顔をしているのに、やはりどこか不機嫌そうなのは変わらなかった。
今のうちに買う物を再確認しておこう、スマートフォンのメモを開いたところで着信を知らせる軽快な音楽が車に鳴り響く。
「…あっ」
「いいよ、別に」
「ありがとう」
あまり運転している人がいる時に通話するのは…と困ったように声を漏らすと案外すんなりとお許しが貰えて、通話に出た。
「マホトさん、どうしました?」
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麗茅(プロフ) - なむさん» お褒めの言葉ありがとうございます!ペースは遅く、文が汚いところも多くて、内容が自由すぎるし、描写が携帯小説らしくないとは思いますがこれからもお付き合い頂けると幸いです! (2018年12月20日 22時) (レス) id: 6985c3aa3b (このIDを非表示/違反報告)
なむ - 面白いです!たのしみにしてます!!!!!! (2018年12月17日 11時) (レス) id: a62ba985bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗茅 | 作成日時:2018年10月8日 12時