非通知人物からの着信 ページ11
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食べ終わり、食器を片付けている途中のことだった。芥川と中原の携帯が同時になり出したのは。
「悪ぃ、芥川。首領から電話だ」
「やつがれは……非通知…?」
非通知というのが気がかりだったが、首領からの連絡を無視する訳にもいかず、外に出た。
芥川はその場で少し固まったまま動けずにいたが、恐る恐る端末を手に取り、耳にあてた。
「………はい」
『もしもし、芥川君?私の許可無く外に出たのかい?』
「だ、太宰さんっ…」
芥川に冷や汗が流れる。紛れもなくこの声は太宰だ。
『今ね、君がいそうなところを探して歩いているのだけど…』
芥川が明確な恐怖を感じたのはその時だった。もとい、中原の自宅には日の光がよく入る家で、冬場は暖かいが、夏は少し暑い。
太宰の声は端末と、そのすぐ隣にある窓の隣で聞こえた。
『不愉快なことに玄関先には中也が居てね。芥川君、窓から降りれるかい?』
「いえ、太宰さん、やつがれは中原さんと行動を共にしたいです。太宰さんは仮にも敵組織。やつがれと共にいる事が見つかれば___」
刹那、通話が切られた。そして外で中原の怒鳴り声が聞こえる。
……やってしまった。
芥川は酷く後悔した。自分は何処で間違えたのか分からないが、太宰の意見をねじ曲げるような発言をしてしまったのがそんなにまずかっただろうか。
「いいか、芥川は暫く俺の処にいるって決めたんだよ!」
「そんなの私が許可してないよ」
「手前の許可なんざいるかよ!」
すぐ外で聞こえる喧嘩。やはりあの2人が仲良くなど無理な話だったようだ。芥川は恐怖心を押しきって玄関の扉を開けて言った。
「全てやつがれが悪かったので喧嘩は止めにして頂けませぬか」
太宰と中原の間の空間にヒビが入った。そして互いに拒否する言葉が同時に聞こえる。
「芥川君はちょっと黙ってて」
「芥川は少し黙ってろ」
先刻までの緊迫した雰囲気は何処へ行ってしまったのか。いつもの言い合いになっている二人だった。
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わさび - 今更文ストにハマりました…推しが太宰・中也・やつがれちゃんなので神作でした!やばいです好きすぎて!!! (2023年1月25日 11時) (レス) @page33 id: 9659da359c (このIDを非表示/違反報告)
ひきたろう(プロフ) - 芥川くんっっ。。。(lll __ __)バタッすいません。推しが可愛すぎて死んでました。笑笑中也さん男前すぎて惚れますね笑笑次回作楽しみにしてます! (2019年7月16日 12時) (レス) id: 5c7dffad8d (このIDを非表示/違反報告)
あをぞらばなゝ - 千風さん» 大丈夫です。わたくしのスケッチブック及び教科ノートが芥川さんで埋めつくされているのでご安心ください← 本当にありがとうございました!! (2017年10月6日 21時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
あをぞらばなゝ - 堕落人間さん» ありがとうございます!!(土下座) 本当に楽しかったです!ホムペに生息してるのでお暇がありましたらいらしてください^^ (2017年10月6日 21時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
千風 - お疲れさまでしたぁ! なんかもう最後まで師弟がぁっ、師弟があっ!! 最近私のスケッチブックが芥川さんで埋まりすぎて怖い(切実) (2017年9月27日 19時) (レス) id: d4838ee308 (このIDを非表示/違反報告)
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