moment〜5 ページ2
指令書は案外直ぐに書き終えた。
かかった時間はかれこれ3時間。
いつもよりは幾ばくか短縮された。
おかげである程度の睡眠時間は確保できた。
コズエさん(違和感なく呼べるようになるにはまだ時間をようするようだ)は、最低でも6時間は寝ないといけないという。
だからこのような会議が夜に開催されるのは非常に困る。
深夜12時に眠り、朝7時に起床、8時に予定された幹部会議で、この3時間という時が詰まった10枚の紙切れ15人分が初めて私以外の人の目に触れる。
あぁ、今日も頑張ろう。でも。
食卓にはいつもの薬の山。
語弊があるかもしれないが、キキョウを産んだ代償なのだろうか。
生かされている気しかしない。
喉を通る錠剤で、益々そう感じる。
まだ、死と隣り合わせの1日。
私は一つ、溜息をついた。
「ママ、怒ってるの…？」
「え…？」
キキョウはパンを頬張りながら神妙な顔をする。
しっかりと表情を観察している。
流石子供の洞察力だ。
無心でキキョウを見つめる。
「ママ、ごめんなさい、きい、いいこにするから、」
キキョウの嗚咽で、ふと我に返った。
さっきの言葉は誤っていた。
薬の山はキキョウを産んだ代償なんかではない。
精一杯あの子を抱きしめるための保険。
そんな早々と逝ってしまってたまるか。
咄嗟に駆け寄り、キキョウの肩に手を置く。
「ごめんね、キィちゃん。
ママ、弱かった。
キィちゃんを泣かせちゃうくらいに弱かった。
でもママ、強くなるから。
その代わり、キィちゃんはずっと笑っててくれる？」
「うん！」
私は涙を流しながらキキョウの頬をさすった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉莉 - めっちゃ最高です！更新楽しみです！頑張ってください((๑•̀ㅂ•́)وｶﾞﾝﾊﾊﾞﾚ~!!! (7月30日 19時) (
レス) id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
kaori - 続きがテニスの王子様めっちゃ気になります！ (6月22日 19時) (レス) id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
kaori - 読みました！ (6月22日 19時) (レス) @page36 id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
かずほ(プロフ) - 初めまして！昨日、シンエヴァ見に行って再び エヴァ 火付いてしまいましたw カヲルくんのとこ泣きました！ こちらの夢小説シリーズ読ませて頂きました！更新楽しみにしてます！ (2021年3月19日 19時) (レス) id: 4ea2670edc (このIDを非表示/違反報告)
RUKA(プロフ) - 長々とコメントを書いてしまい、ごめんなさい。続きがとても気になります。更新頑張ってください。 (2021年1月30日 9時) (レス) id: 4977de0b73 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅坂紅子 | 作成日時：2016年2月14日 1時
