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FILE.8 ページ8




 私はまだ新人である。ひよっこである。ペーペーである。どこぞの“偉い人”から「君は逸材だよ」云々言われようが、それだけのこと。
 副であれリーダーはリーダーだ。当然、チーム全体を導く立場にある。

 私は、駒だ。ただ使い勝手が良く、ただ人よりも優秀であるだけの、いち駒に過ぎない。
 そんな私が、このチームの、この国の未来を担う一翼になど、なれようはずもない。


「……これは上からの任命だから、私、ましてや君の賛否では変更しかねる取り決めでしてね。上はこう言っていました。“彼女ほど相応しい人材はいない”と」

「っしかし」

「だが、こうも言っていた。“いつか、その意味が解るときが来る”とね。……今はまだ、この取り決めに深く考えなくてもよいと思いますよ、小栗さん」

「……はい」


 私ほど相応しい人材はいない、とは何だ?
 いつか意味が解るときが来る、とは何だ?

 そんなの、ずっとずっと前にも言われたことがあるのに、ずっとずっと分からずじまいだ。私に、副ましてやリーダーなど、務まるはずもない。
 お願いだから、これ以上はもう__。


「どうした?」

「!? ぁ……いえ…………」


 赤井秀一に声をかけられ、思考の渦から現実へと引き戻された。

 いけない。
 蟠ってしまうのは私の悪癖だ。

 背筋に伝った嫌な汗に、気付かないふりをした。




「……」


* * *


「再三喚起しましたが、呉々もFBI関係以外の者には内密にお願いします。一般人にまで被害が及んでしまえば、元も子もありませんから。……では、解散してください。次回の日時・場所は追って連絡いたします」


 顔合わせだけの予定であったため、ほんの数十分で会は終了した。

 今日こそ飲みたい気分だ。早く帰って、またあのバーへ行こう。
 そう思った矢先に、声が掛かる。


「出会ったときとは打って変わって、酷い表情だな」

「……今朝は、本当にすみませんでした。それから、一日中コンピュータにかじりつく仕事をしていれば誰でもこんな表情になりますよ。ブルーライトは健康に悪いのでね」


 それでは、お先に失礼します。
 そう言って退室しようとするが、彼に腕を掴まれてしまう。


「何でしょう?」

「……こうしてここにいるのも、何かの縁だ。今夜、飲まないか?」


 __勿論、二人きりで。

 ああ、面倒な男と知り合ってしまった、と心底思う。
 出かかった溜息を飲み込み、了承の返事をした。


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サブとバラ(プロフ) - 紅茶様、バニラ様、コメントありがとうございます!お待たせいたしました!本日より更新をスタートいたしますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 10時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
バニラ - こ…こんなところで更新停止…続きをお恵みくださいm(_ _)m (2021年3月31日 10時) (レス) id: 09cbde2c1f (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - めちゃくちゃどストライクに好きです!更新楽しみに待ってます! (2020年7月26日 14時) (レス) id: 10496758d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2020年2月9日 0時

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