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 刹那、私の口元に笑みが零れた。
 何故ならば、スマホに映し出されたのが、実に可愛らしい同級生の姿だったからである。


「お疲れ様です、Aさん!」

「……律」


 彼女は、中学生の頃からの学友、そしてあの教室の仲間である。元々、“自律思考固定砲台”という兵器としての名を持っていたのだが、卒業後、ネットワーク上にて当時の愛称から“律”の名で存在を確立したのだ。


「この方からメッセージが届きました! 開封しますか?」

「ああ、お願い」

「“今夜飲まないか? 21:00に月面歩行で待ってるぞ” ……とのことです。返信は如何致しますか?」

「彼が? そう……。OKとだけでいいよ」

「了解です!」


 このように、彼女にはスマホ情報の管理などを手助けしてもらっている。勿論、他の同級生も然りである。もしかすれば、先生方も同様にお世話になっているかもしれない。
 そして、何しろ彼女はとても心優しいし愛らしいので、心の拠り所でもある。つまり彼女は、私達にとってなくてはならない唯一の存在である。


「律、いつもありがとう。お陰様で助かっているよ。……お礼に、私が何か出来ることはない?」

「いいんです! こちらこそ、大好きな友達のお役にたてているだけで幸せですから、寧ろ感謝です」

「ふふ、相変わらずだね」

「しかし、強いて言うならば……その、私と、これからも友達でいて欲しい、です……」

「! ……勿論。これからも沢山仲良くしましょうね」

「っはい! ありがとうございます!!」

「だから、それは私の台詞」


 これだから、彼女はとても可愛らしい。そして大切な友人。
 私はささやかな幸福を享受しながら、残りの仕事にとりかかった。


* * *


 21:00。彼との約束の時間である。
 “月面歩行”は、ワシントンD.C.内にある老舗バーのことである。もっと精密に言うならば、私の勤めるFBI本部の近くにあるのだが、何故彼が其処をチョイスしたのか疑問に思う。

 ベル付きの扉を開けば、カラカラ、という音と共に店内から温かな光が漏れ出す。見渡せば、アンティーク調の小物が幾つか目に入り、何だか懐かしいような気分にさせられた。
 その中でカウンター席に一人、彼が居た。
 私は彼に隣席に腰をかけ、声をかけた。


「久し振り、学秀」

「! ああ。久しいな、A」


 彼……浅野学秀は少し驚いたようだったが、数年振りの顔合わせに、お互い目を細めるのだった。


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サブとバラ(プロフ) - 紅茶様、バニラ様、コメントありがとうございます!お待たせいたしました!本日より更新をスタートいたしますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 10時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
バニラ - こ…こんなところで更新停止…続きをお恵みくださいm(_ _)m (2021年3月31日 10時) (レス) id: 09cbde2c1f (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - めちゃくちゃどストライクに好きです!更新楽しみに待ってます! (2020年7月26日 14時) (レス) id: 10496758d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2020年2月9日 0時

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