言葉なんかがなくたって【鬼滅の刃】

最後の日の出 ページ25

六日目、私は下山を始めた

姉さん、カナエさん、しのぶさん

きっと…いや、絶対に戻るから

あの髪飾りを持ち帰るから

あと一日…あと一日だけでいいから待っていて

日が沈んで月がのぼる

今宵は満月だ


鬼に会った

うぐいす色の気色悪い鬼

｢おい逃げるな蝶娘｣

今の体力じゃ確実に殺られる

動きは思っていたよりも遅い

逃げ切るしかない、みんなのために

｢おい蝶娘、今は明治何年だ｣

明治？今は大正なのに…

手がのびてくる

色の呼吸 花の色 桃の花

｢やるなぁ、これならどうだ？｣

鬼の気配が定まらない

何処なの？




下、下だ

素早く飛び上がる

｢た、高い！宍色の髪のアイツより高い！｣

『誰のこと言ってるんだか知らないけど、私、アンタに構ってる時間なんてないから』

そう告げて木に飛び移る

木を伝って逃げる

まだ呼吸に慣れていないんだ

一回で疲れているようじゃ話にならない


そういえばカナエさんの弟子を殺した鬼が目が赫くって言っていたけれどあの右目が開いたの？

いや、そんなわけはないか？

気がつけたば周りに藤の花が咲き乱れていた

終わったんだ、やっと…

全身の力が抜け、私は膝から崩れ落ちた

ありがとう→←一人いないだけなのに

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