45. _Fin. ページ45
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「小暮Aさん。」
君は、
あの花のように。
『はい。』
そこら中に咲く、あの花のように。
「俺と、」
コンクリートにも打ち勝つ、あの花のように。
「結婚してください。」
どこまでも強くて、儚くて。
『よろしくお願いします。』
可愛くて、美しい。
世界でたった1人の
俺を狂わす、魅惑の人。
するりと左腕のたんぽぽを解く。
冷たくなってしまった彼女の左手を
温めるように握った。
そして、だいぶ茎が柔らかくなったその花を
彼女の薬指に結び直した。
君は優しく微笑んで
自分のその花を、同じように
俺の指に結んだ。
満開の花びらが彩る愛の結び目。
そっと撫でた彼女の髪に
フワリと風が触れた。
大袈裟な夏が上書きする前、
透き通る冬が儚く消える前の
この季節になると
あの日
君の赤い糸を手繰り寄せて
そっと口付けをしたあの時の香りを
鮮明に、思い出す。
──────────Fin.──────────
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#TODAY(プロフ) - みりんさん» ありがとうございます!春風のように優しくて暖かいお話になるように頑張ったのでそう言って貰えてとても嬉しいです!! (2022年1月11日 12時) (レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 素敵なお話で心があったまりました♡違うお話も読ませていただきます(*^^*) (2022年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 57a21b061a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:#TODAY | 作成日時:2021年7月30日 23時