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順調に。
と言ったら、まぁ、順調に。
ライブは進み、楽しみ、笑って、疲れて。
"ジャニスト！ジャニスト！"
ファンの人が俺らを呼ぶ声に応えるように
もう一度ステージに上がる。
アンコール。
また、君の近くを通ったんや。
楽しんでくれとるかな。
恥ずかしがっとるかな。
なんて、
心の中でふんわり浮かぶ期待を膨らませて君が居るはずのブロックに目を向けた。
君が居るはずの席に、目を向けた。
居るはず、なのに、
そこには不自然に空いたひとつの席が
虚しく、悲しく、ただただ存在していた。
「…え、」
ライブは尚続いている。
イヤモニから音楽が流れている。
皆んなが自分を見ている。
それなのに俺は、
君が消えた事に動揺を隠せなかった。
どうして？
なんで？
ライブ、楽しなかった？
急用があった？
MCで話されたのが嫌やった？
俺に、会いたなかった…？
こんなこと誰に聞ける訳でもない。
それなのに、俺の中にある一抹の不安が
大きな怪獣になって
停止した思考を丸呑みしていく。
ふと我にかえって聴覚に集中。
さすがに自分のパートを歌わない訳にはいかへん。
さっき、泣いてもうてるし。
絶対そんなん、あかんって、分かってるのにさ。
訳分からんぐらい目に涙が溜まってくねん。
あかん、どうしよ。
冷めていく心臓と
熱くなる目頭。
重くのしかかる不安と
冷静な思考。
涙が、落ちる。
そんな時やった。
今まで彼女がおった空席しか目に入らんかったけど
隣に居る女性二人組が
画用紙を掲げているのに気が付いた。
ファンサ、せな。
とか、そういうんやなくて。
「…たん、ぽぽ……」
その2人組が掲げている紙には
"たんぽぽ 医務室！"
と大きく書かれていた。
医務室…
って事は、体調悪なったってこと…？
とにかく、まだ会場には居る。
そのひとつの事実だけで俺の涙は引っ込み
不安は波のように引いて行った。
Aちゃんとあの二人組がどういう関係かは分からん。
せやけど俺にしか分からん方法で、明確に、
彼女の事を伝えてくれた。
俺はめいいっぱいの感謝を込め
彼女らが持つファンサ団扇にとびきりのファンサを届け
前へ、歩き出した。
俺は、彼女に会うんや。
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#TODAY(プロフ) - みりんさん» ありがとうございます！春風のように優しくて暖かいお話になるように頑張ったのでそう言って貰えてとても嬉しいです！！ (2022年1月11日 12時) (
レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 素敵なお話で心があったまりました♡違うお話も読ませていただきます(*^^*) (2022年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 57a21b061a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年7月30日 23時
