春の結び目《桃》

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照史、いらん事言うなよ。




それはMCの話題。




照史がふと、花冠被っとる人多いな、と話し出したのがきっかけやった。





「雑誌で1回な。俺らが花冠作ったのがきっかけで花冠を被ってくれる人増えたんよな。」


「みんな可愛いわぁ。」


「な！お姫様みたいやわ。」





Aちゃんが会場内に居る中、

その話をするのはとてもじゃないけど気恥しい。



そしてこれまた嫌なことに

淳太が俺に話を振ってきた。





「あれってのんちゃんが初めにやり始めたんよな？」


「…あ〜、せやったな。」


「なんであんなに上手いん？」


「…まぁ、おん、……小さい頃、幼なじみの子と花冠一緒に作ったんよ。その子作んのホンマに上手くて。散々しごかれたけどな。」


「へぇ〜」


「もう15年振りくらいちゃう？作ったん。…作り方とか覚えてへんと思っとったけど、手には染み付いとったわ。」


「望、ホンマに綺麗やったよな。」


「な！まん丸で。」


「淳太が不器用過ぎんねん。」


「初めてにしては出来た方やと思うで！？」


「よく言うわ笑 あんなん花が可哀想やわ。」





性別はやんわり暈したけれど

多分ファンの人もその幼なじみが女の子って事は薄々気付いとるかもしれん。



せっかくライブ来てくれとるのにMCで女の子の話するのも如何なものかと思うけど


適度に笑ってくれとるからまぁ、いいか。





「最近の子供達も花冠とか作るんかな？」


「いやぁ〜最近の子はやっぱりゲームとかちゃう？」


「でも花冠作れるって結構…ええよな。」


「なんやねんそれ！」




今日、オーラスやで？笑


花冠の話なんてオーラスやなくても良かったんちゃうの？

しかも、Aちゃんおる中で……




正直顔赤なってないか心配になる程ドキドキした。



彼女が笑ってくれとったらまだええねんけど、


ステージからはさすがに見えへん。



怒っとらんかな…？




「ちょぉ小瀧ボーッとすな！」


「あ、ごめんごめん。」


「望ってあれ、たんぽぽ写真撮っとらんかった？」


「…あぁ。撮ってんで。」


「せやんね！なんか望、たんぽぽ見かける度に写真撮ってるんよ。なに、最近の流行りなん？笑」


「いやいや、……たんぽぽは、その…幼なじみの子がね、毎日左手首にたんぽぽ結んどって。一日限定のお守りやー言うて。…それがすごく、なんか…」





話せば話すほど思い出される昔の記憶。


君との記憶。


君との時間。

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