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"のぞむくんっ！"
君が、笑っている。
たんぽぽとシロツメクサを沢山持って、笑っとる。
左手首にはたんぽぽを巻き付けて、
頭にはシロツメクサの花冠を被って。
黒く長い髪が春風に揺れた。
小さな背。
愛らしくて、抱きしめたい。
"なんやろ、これ…"
ふと、自分の手の指に糸が巻きついているのに気がついた。
真っ赤な、糸。
その意味を理解するのに時間なんか要らんくて。
必死に手繰り寄せるようにその先に走った。
君に向かって真っ直ぐに伸びる赤い糸。
それが無性に嬉しくて。
でも。
"…えっ！！"
プツリ。
その糸は、切れた。
"何！？なんやねんこれ！！"
ドロドロと赤い液体が足元を染めていく。
怖くて怖くて仕方がない。
必死に君を探す。
君は、もうそこには居らんかった。
どこに居んの？
なぁ、はよ姿見せてって。
広がっていく赤い海に水平線が飲み込まれていく。
どんなに目を凝らして世界を見渡しても
君は、どこにも居ない。
「…いっ、嫌、いややぁ！！」
指に巻きついている赤い糸。
その先は雑にちぎれて行き場を失い宙に揺れている。
その真っ赤な糸がまるで
溶けていくかのように
フワリと
「ダメやって！あかんって！！」
どんなに手で押さえつけても
どんなに手で掬っても
解けていく糸を止めることが出来ひん。
それもそのはず。
俺の手は段々と小さくなっていく。
目線も下がっていく。
子供に、なっていく。
あの頃の記憶が蘇る。
突然消えた君の欠片。
机も、家も、
君の存在を表す全てが
風と共に消えたあの夏の日。
君に最後に会ったのは
何年何月何日？
君と最後に花冠を作ったのは
何時何分何秒？
君に、逢いたい。
この真っ赤な世界から逃げ出すように
俺は、必死に手を伸ばした。
小さな背が見える。
「Aちゃんっ！！」
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#TODAY(プロフ) - みりんさん» ありがとうございます！春風のように優しくて暖かいお話になるように頑張ったのでそう言って貰えてとても嬉しいです！！ (2022年1月11日 12時) (
レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 素敵なお話で心があったまりました♡違うお話も読ませていただきます(*^^*) (2022年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 57a21b061a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年7月30日 23時
