春の結び目《桃》

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そして、あの撮影で撮った写真が載る雑誌の発売日。







残念やけど、あの日の次の日には

たんぽぽは枯れてしまった。



あれから大事に持って帰って

一輪挿しの花瓶に入れたんやけどな。



朝起きたらしなってもうたわ。



でも、君が俺の家に居てくれとるみたいで、

夜寝る前に"おやすみ"って声かけてもうた。



傍から見たら、キショいか？笑



まぁ、ええか。


幸せなんやもん。




そうやってさ、君がそこに居てくれとるような気がしながら生活するの。


妄想、って言うたらそうやけど


それだけでも、少しは気が楽になんねん。






スマホの写真フォルダに入った

その、一輪挿しのたんぽぽ。


待ち受け画面に設定した。




今日も、スマホの電源をつければ

黄色い君が、ニコニコ笑っとる。





「望、顔緩みすぎ。」


「………」


「何見とったん？」


「別に。ただの写真や。」





今日は全員での仕事。


今日もまた、あの雑誌の撮影や。




撮影まで少し時間が空いているため

楽屋で各自の時間を過ごしていた。




そしたら隣に座っていた流星がいつの間にか俺の顔を覗き込んでいて


俺は素早くスマホの電源を落とした。





「なんの写真？」


「なんでもええやろ。」


「女の子の写真か。」


「まさか。淳太やないんやから。」


「おい！！」


「まぁまぁ淳太、落ち着けって。」


「いや俺見てへんから！」





いつの間にかメンバー全員に話が広がり


直ぐに楽屋は煩くなった。





トイレから帰ってきたしげと神ちゃんも話に加わり


結局、標的は淳太に。




流星も、それ以上俺に何かを聞いてくることは無くなって


俺もスマホをポケットに入れた。





淳太、ごめんな。ありがとよ。

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