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『…いたいの、きえた？』
「…うん、ありがとう。」
初めての会話はこれ。
入園したばかりだったから皆のことそこまで知らなかったけれど、特に君の事はこの時に初めて見た気がする。
だってこんなに可愛い子見たら絶対忘れないやん。
青色のスモックの胸元、自分と同じ色の名札が付いていた。
「うさぎぐみ？」
『うん。』
「お、おれもやで！」
『そうなんや！よろしくね。』
「…うん。」
真っ白な君はほんまにうさぎみたいやった。
優しくニコッと笑うその顔が当時の俺からしてみれば天使のように輝いて見えて。
園内はうるさいのに、君の高い声しか聞こえんかったから
2人だけのように感じとった。
ふと、青いスモックから覗く真っ白な左腕に
大きな黄色い花をつけているのに気がついた。
青と白と黄色。
その色のバランスは大人になった今でもどこか特別に感じる。
「なんなん、？それ。」
『これ…たんぽぽ。』
「かわいいなぁ。」
真ん丸の黄色い花は、よく見ると小さな花びらが沢山集まっていて、とっても可愛かった。
彼女にとても似合っている。
まるで彼女のためにあるような、花やった。
思わずそのたんぽぽに触れようとした時、君は初めて嫌な顔をしたっけ。
『イヤっ、さわらんといて。』
「…ごめん。」
どうしてもそのフワフワした花を触りたかってん。
たんぽぽは今までも触ったことあるし、綿毛の方がフワフワしとる事すらも知っとる。
でも、君の左腕に結ばれとるそのたんぽぽを触りたかった。
そしたら君はたんぽぽのない右手で俺の左手首を掴んで、まだ血が滲む膝のまま立たせた。
そして滑り台から離れた園の端っこまで連れていってくれた。
そこには見落としそうなくらい端っこの端っこにたんぽぽが数輪咲いとって、暖かいそよ風に小さく揺れていた。
君は俺から手を離したんぽぽの近くにしゃがみ、俺を呼んだ。
何をするのか全く分からんかったけど、呼ばれたまま彼女の隣にしゃがみこむ。
彼女は風に揺らぐたんぽぽを1つ摘み、俺の左腕を掴んだ。
間近で見る彼女の顔。
俺の左腕に何かをしているようだが、そんなことよりも、
とても近い距離で見る君の顔に、俺は胸が高鳴っていた。
長いまつ毛が伏し目がちに下を向くから、より長く見える。
そのサラサラな髪を触ってみたい。
君がしてくれたように、俺も君の頭を撫でたい。
そんなことを思っていた。
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#TODAY(プロフ) - みりんさん» ありがとうございます！春風のように優しくて暖かいお話になるように頑張ったのでそう言って貰えてとても嬉しいです！！ (2022年1月11日 12時) (
レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 素敵なお話で心があったまりました♡違うお話も読ませていただきます(*^^*) (2022年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 57a21b061a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年7月30日 23時
