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それは俺がまだ3歳の時。

それは俺がまだ君の事を何も知らない時。

それは俺がまだ、

まだ、まだ、


子供やった時の

ある些細な出来事がキッカケやった。



幼稚園年少の春。

初めての場所、初めての世界。


当時のことはあまりよく覚えていない。

覚えとる人の方が少ないんちゃう?


幼稚園の時の記憶はいつの間にか消えとって、どんどんアップデートされて行く。


でもあの日のことは未だに鮮明に記憶されとる。


ほんま、都合のいい頭やわ。




幼稚園に滑り台があってん。

皆で外で遊ぶ時間、俺はその滑り台を何回も何回も繰り返し滑っていた。


さっきまで一緒に滑っとった子はいつの間にか他の遊びを始めとって、滑り台には俺しかおらんくなっててん。


せやから先生もあまり気にかけとらんかったんやな。




その時も普通に滑ったはずやった。


せやけど着地した時に何に引っかかったんか、

ポンッと体が投げ出された。


そしてそのまま地面に倒れた。


今考えてみればただただ転けただけやねん。

でも、当時の俺は死ぬんちゃうかってぐらい怖くて。


小さく擦りむいた膝から赤黒い血が滲んできたのを見て、涙がせり上がってきた。



ああ、泣いてまう。

泣くのは自分なのに、どこか冷静になる自分もおって。

でもそんな自分に打ち勝つことなんか出来ずに、そのまま泣いてもうたんや。



結構大きな声で泣いたはずやねん。


なのに先生はそれに気付いてくれへんかった。



たまたま視界に入っとらんかっただけやと思うけど。


でも先生が気付いてくれへんかった方が、良かったのかもしれない。




そんな時に、君が現れた。





『…だい、じょうぶ…?』




小さな声やった。


自分の泣いている声の方が圧倒的に大きいのに、

それなのに君の声は俺の耳にスっと入ってきた。


ふと声をした方を見ると、同じ服を着た女の子が隣にしゃがみ、顔を覗き込んでいた。


可愛かった。



白い肌に長い髪。


大きな目に、赤い唇。



お人形さんのような君は、心配そうな顔で俺を見つめていた。



そして、

大丈夫大丈夫、痛いの痛いの飛んで行け、と言いながら頭を撫でてくれた。



痛いのは膝なのに。


優しく撫でてくれる彼女の小さな手が心地よくて。


いつの間にか、痛さなんてどこかへ飛んでいってしまった。



君は、お人形さんみたいな人。


妖精みたいで、魔法使いみたいな人。






これが、


俺が君を好きになった


はじめの日。

2.→



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#TODAY(プロフ) - みりんさん» ありがとうございます!春風のように優しくて暖かいお話になるように頑張ったのでそう言って貰えてとても嬉しいです!! (2022年1月11日 12時) (レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 素敵なお話で心があったまりました♡違うお話も読ませていただきます(*^^*) (2022年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 57a21b061a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:#TODAY | 作成日時:2021年7月30日 23時

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