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「それで、りんごは元気ですか…？」
「…っ、……」
『職員さん？』
「あぁ、うん。元気なんちゃうか？…俺は担当やないから他の人の事はよう分からんねん。」
目が、泳いだ。
普段なら気にする事は無いんやけど
なんでか、この時ばかりは
職員さんの目が少し泳いだ事が
僕の中で、黒い不安の種となった。
「俺、は、ちょっともう行かなあかんから…」
「…職員さん。」
「ん？なんや、」
「…なにか、隠してますか？」
「はぁ？…笑」
『私も、なんか隠してるように見えます。』
職員さんは
一瞬、図星をつかれたような顔をしたが、
直ぐに落ち着きを取り戻した。
「…勘違いすんな。俺とお前らは友達でも仲間でもない。隠し事なんて陰険な事する訳ないやろ。何を伝えて、何を秘密事項にするかは全て実験や。…俺の意思やない。」
意思やない。
そう言うけど、
そんな事もないと、僕は思う。
職員さんが自分で思って僕らに掛けてくれた言葉
沢山あるって信じとる。
心配してくれたことも、
叱ってくれたことも、
そりゃもちろん、それを言われた僕らの反応は実験結果に反映されるんやろうけどさ
だからって、職員さんの言葉一つ一つが定型文な訳がない。
実験用に用意された言葉な、訳が、ない。
結局その後、職員さんがそれ以上りんごについて言及する事はなく
消灯時間になり
1日の幕が降りた。
そして、次の日の外出実験の時。
昨日の恐ろしい豪雨は夜のうちに過ぎ去り
雲ひとつ無い青空が
僕らの真上に広がっていた。
その日はガタイのいい職員さんは居なくて
いつも流星の外出実験に付き添っていた
細身で撫で肩の職員さん1人が担当してくれた。
今になって、
後悔してる。
いや、
寧ろ、逆に正解だったのかもしれへん。
「お前ら、昨日じゅ………あの茶髪の職員追い詰めてたやろ。」
夕方になり、外出実験の時間が終了して
夕日に照らされながら建物の出入口まで歩いていた時やった。
横を歩くあまり喋らない職員さんが
口を開いた。
「おい、詰めてたって言うか…」
『ちょっと、困らせてしまって…』
「あの後、あいつめっちゃ怒られとったで。」
『嘘…！…それは、謝らないと…』
どうしてこの職員さんが、
この話を持ち出したのか。
全てのピースが繋がるその時まで
僕は先の見えない煙の中にいた。
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#TODAY(プロフ) - キャラメルさん» 初めまして！！読んでくださってありがとうございました！他には無い話を書きたくてだいぶファンタジックになってしまいましたが、難しくは無かったでしょうか…(汗)Shadowsを聴いた時はこのお話を思い出して下さったら幸いです。他の作品も頑張ります！！ (2021年12月31日 21時) (
レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - #TODAYさん初めまして！この作品の世界観にぐっと引き込まれてしまい、思わず感想を伝えたくてコメントさせて頂きました！！！最後の方は読みながら本当に泣きそうになりました！他の作品も読ませていただきます！最高の作品に出会えたことに感謝します！ (2021年12月31日 13時) (レス) @page35 id: 826f2c597b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年9月15日 16時
