｢助けて｣なんて虫が良すぎる。《青》〈1〉 (ページ26)

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「まず…えっと……迷惑、かけてごめんなさい。…ライブ、最後やったのに、ほんまに、ごめん。」

「………」

「えっと……その、、見て、分かるかもしれんけど、最近なんか、おかしくて。こころ、が、おかしくて。その、カウンセリング？受けることに、なりました。で、その…」

「ゆっくりでええで。」

「………俺は、ほんまは、ライブもやりたいし、仕事も、してたくて。せやけど、なんか分からんけど、怖いねん…周りに、どう思われるか、とか、悪口、言われたり…すんの、怖くて……こわ、くて、…みんなに、当たってる自覚、あった。…ごめん。」

微かに震える彼の手と口先。

桐山は彼のそばに行き、そっとその大きな体を抱きしめた。

密着した事により一層感じる震え。

「流星、俺の方こそごめんな？沢山苦しんどったのに、分かってやれんくて、怒鳴ったりして、ごめんな。」

あの時。

彼に怒鳴ってしまった時に見せた彼の顔が

桐山の頭にはずっと残っていた。

怒られた時の子供のような

苦しみをぎゅっと内側に押し込んだような

そんな顔で、自分を見ていた。

そんなこと言わんといてや、って

何でそんなこと言われなあかんの？って

何で分かってくれへんの？って。

もっと早く分かっていればこんな事にならなかった。

そう思っているのは、小瀧や濵田もそうだが、桐山もだった。

いや、この場にいる全員が、そう思っていた。

藤井も含めて。

「よし、とにかく片付けよう！」

「せやな、そうしよそうしよ。」

「流星はとりあえずソファ座っとき。まだ右腕痛いやろ。あんま動かさん方がええで。」

「いや、でも、」

「ええからええから！寝とき！」

「寝はせぇへんわ。」

中間の一声により、重い空気は緩やかに。

各メンバー、それぞれ流星の部屋を片付け始めた。

窓のシャッターを開け光を入れて

散らかっている服をかき集め洗濯をし

割れた物を捨て

シンクに溜まった洗い物も全て洗い

2時間たってもまだ元通りにはならない部屋。

7人の明るい話し声が響くのは、いつぶりだろうか。

藤井は片付けるメンバーを横目に

片手でできることはやりながら、そんな事ばかりを考えていた。

そして、やっと人が住める程まで片付いたのは

もう日が暮れ始める頃だった。