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見たくないのに、目が離せない。
ツンと鼻の奥に刺さるような臭いや
焦る周りの人々の声。
赤い液体。
頭が白くなりかけた時、視界が暗くなった。
きっと誰かが自分の目を塞いだのだろう。
小瀧はされるがままにその場から移動し、
廊下の壁にもたれ掛かりながら、ズルズルと座り込んだ。
「望、大丈夫や。一旦落ち着こう。」
目を塞いであの場から移動させてくれたのは、桐山だった。
桐山は小瀧のことをしっかりと抱いたまま、一定のリズムで優しく背中を撫でた。
「りゅ、せ…」
「大丈夫大丈夫。」
「カッター、刺さって…」
「大丈夫やで、すぐ救急車来るから。」
「おれ、さっきまで、一緒に居った…のに、」
「大丈夫。望のせいやないで。」
「トイレ、で、…泣いてたっ…」
「泣いてた？」
「手、ゴシゴシ、洗ってて…�陲舛磴鵑�、やめろって、言うたら…」
「うん。」
「…しごと？って…」
小瀧はあの時見聞きした光景を思い出すように、
ポロポロと涙と共に言葉を零した。
まさか、流星の口からそんな言葉が出るなんて。
小瀧も、あの時の�霤弔癲∋廚辰討發い覆�て。
その言葉を聞いた途端、心臓がヒュっと冷たくなったのを覚えている。
「そんな事言うたん？」
「…そう、せやから、あの時俺がもっとちゃんと話、とか、聞いてあげとったらっ、」
「大丈夫。それは望のせいでも�陲舛磴鵑里擦い任發覆い如�…大丈夫。大丈夫。」
桐山のおかげで少しは落ち着きを取り戻した小瀧。
彼は深呼吸を繰り返し、落ちる涙を掬った。
「桐山さん、小瀧さん！…大丈夫、ですか？」
「あぁ、うん。大丈夫やで。」
向こうから走ってきたのは、若いマネージャーで
汗を額に滲ませて、顔色も悪かった。
あの状況を見た後、冷静に対処しようとしていたのだから無理もない。
「流星は？」
「すぐに救急隊員が駆けつけてくれるそうです。応急処置もしましたし、幸いそこまで深くは刺さっていなかったので…」
「そっか、良かった。」
「なんでっ、流星…」
「女性スタッフに切りたい物があるからカッターを貸してくれと頼んで、渡されたその場で自分で刺したそうです。」
「自分で？」
「はい。すぐにそのスタッフが止めに入ったそうなのですが、なかなか止めず、…3回も…」
マネージャーの話は、それ以上でも以下でもなく
ただその事実を2人に突き付けるだけだった。
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年8月18日 13時
