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廊下を引き返そうとすれば、無咎は少し周囲が騒がしいことに気付いた。
「何かあってるのか？」
「さぁ……私には何とも」
「ノートンさんに何かあったんでしょうか」とAは呟いた。
その表情からは彼女が心底、心配していることが伝わってくる。無咎は何だか複雑な思いでAを見た後、離れるべきではないと判断した。
占い師か傭兵でもいれば、話は別だろう。
「占い師か傭兵はいるか？」
この騒ぎでAの存在がバレることを恐れ、彼女を隠しながら呟いた。
Aは首を振りながら、無咎の陰に沿うようにしてついてくる。
「……あれ、でも……。この声はナワーブさんじゃないですか？」
「そうだな」
「なんて言ってるのか聞こえませんけど……」
無咎はそっと目を伏せて、耳を澄ました。占い師の激高したような声が聞こえてくる。
「君は……本当に……っ！」
原因は明らかに探鉱者だろう。
ため息を吐きたくなる。とうとう何かをしたらしい。それが何かは分からないが、良いことではないだろう。
彼の部屋へ行くべきだろうか？と無咎が考え事をしていると、急にAが探鉱者の部屋の方へ走り出した。
「おい、A！？」
「いま、ノートンさんの声がしたんです。もしかしたら、また苦しんでいるのかもしれない！」
無咎は慌てて彼女の腕を掴んだ。
「落ち着け、探鉱者がそういった事態に陥るのは珍しいことではない」
「そうだとしても、私はノートンさんが困ってるなら何かしてあげたいんです」
「他人に対して献身的になるのは褒められる行為だが、度が過ぎると身を亡ぼすぞ。あいつは自分のことを自分でどうにかできる程度には大人だ」
無咎がそう言うとAは、「それは……わかっています」と静かに頷いた。
それでもまだ、無咎が腕を話せば走っていきそうだ。
「分かっていると思うが……。お前が説明してくれた通り、俺らとお前とでは住んでいる世界が違う。探鉱者のことを理解していると思い込んでいると痛い目を見るぞ」
強い口調でそう言えば、Aは戸惑ったように視線を彷徨わせる。
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トバリ - 蜜月さん» お楽しみいただけたようで、何よりでした。ご縁があれば、また。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: e428776eb9 (このIDを非表示/違反報告)
蜜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新を毎回楽しみにしていた身としては寂しいような嬉しいような気持ちで一杯です笑 作者様の書くノートン君が好きでした。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 20a9fa7637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年10月10日 18時
