29,ホスト ページ16
.
言われるがままに玄関へ向かい、扉を開けるとイライがいた。
「イライさん、おはようございます」
「お早うございます、Aさん。……顔色が良くなっていて安心しました」
紺染めのアイマスクの下で目を細め、彼は言った。
私は何だか照れ臭くなって、「そうですね」と意味のない返答をした。
「それで……聞きたいことがあるですが、良いでしょうか」
「聞きたいこと？何でしょうか」
「キャンベルくんが……ノートンさんが君に会いたいと言っているんです。もちろん彼に恐怖心を抱くのは分かっています。でもAさんに余裕があれば、もし宜しければ……サバイバー館へ来ていただけませんか」
別にノートンに恐怖心なんて抱いていない。
そう反対しようとする前に、イライはこちらに向かって頭を下げた。何とも言えない苦みが胸の内に広がり、私は無理に飲み込んだ。
大丈夫。
私は、ノートンのこと、怖いなんて思ってない。
「……Aさん？」
イライがこちらを窺うように腰をかがめた。
私はハッとして、すぐに顔を上げた。
「大丈夫。大丈夫ですよ。サバイバー館ですね、ハイ」
「Aさん、本当に大丈夫でしょうか？」
イライは困ったようにAを見ていた。
「……ノートンさんに、会いに行き、たいです」
Aがつっかえながらそう言うと、イライの後ろにある茂みがガサガサと揺れた。
「ヒィ」と怯えた声を上げるAに、イライは庇うように立ちながら「大丈夫だよ」と囁いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 168人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トバリ - 蜜月さん» お楽しみいただけたようで、何よりでした。ご縁があれば、また。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: e428776eb9 (このIDを非表示/違反報告)
蜜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新を毎回楽しみにしていた身としては寂しいような嬉しいような気持ちで一杯です笑 作者様の書くノートン君が好きでした。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 20a9fa7637 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トバリ | 作成日時：2020年10月10日 18時
